2003年7月4日(金)「しんぶん赤旗」
高齢者医療窓口負担の限度額を超える分の払い戻しについて、制度が導入された昨年十月から半年たっても払い戻しを受けていない人が三割もいたことが全国保険医団体連合会(保団連=室生昇会長)の調査で三日までに明らかになりました。
小泉内閣の医療改悪で昨年十月から高齢者医療の窓口負担が一割(一定所得以上は二割)になり、自己負担限度額が引き上げられました。限度額を超えても、患者は請求された全額をいったん医療機関に支払います。超えた分は市町村に払い戻しを申請します。
保団連は昨年十月分の払い戻し分の申請状況を調査(三月末)。千百八十二自治体で、払い戻し対象は約三十九万六千人。このうち未申請は十二万人、三割でした。未払い額は約七億三千万円。
未申請者に通知して申請を促した市町村は約70%。市町村の対応により未申請数に差があります。
制度導入に際し、医療関係団体などが手続き軽減策を繰り返し要請しました。厚生労働省は「該当者に個別通知。領収書添付は不要。初回申請のみで以後の申請は不要」と都道府県に通知を出しています。ところが、「初回申請のみ……」の通知どおりに対応しない市町村が三割も残されています。
払い戻し率の高いところは社会保障推進協議会(社保協)などの運動があります。愛知県では社保協や保険医協会が厚労省通知の実施を全市町村に出向いて要望。実施状況のアンケートを繰り返し行うなどして働きかけました。その成果として払い戻し率が全国より20ポイント高い平均91%に。名古屋市などは限度額を超える、超えないに関係なく、全老人保健対象者に申請書を送付して、事前申請を勧め、効果をあげています。
保団連は「国の責任で実態調査をして、事前申請などの対策を講じるべきだ」としています。