日本共産党

2003年7月8日(火)「しんぶん赤旗」

イラク特措法案 小泉議員追及

大義なき違憲の占領支援


 日本共産党の小泉親司議員は七日の参院本会議で、イラク特措法案について、衆院での審議をふまえ、自衛隊による米英軍による「大義」なき軍事占領支援であり、違憲の武力行使だという重大問題を追及。小泉純一郎首相は、破たんが明らかになった答弁を繰り返すことしかできませんでした。

破たんずみ答弁繰り返す首相

征服戦争につづく占領体制への支援

 小泉首相 安保理決議一四八三は特に軍隊の派遣だけを要請しているものではないが、自衛隊の派遣は、わが国の主体的判断によるものだ。

     ◇

 米国によるイラク戦争は、国連憲章違反の先制攻撃の戦争でした。しかも、ブッシュ米政権がイラク戦争を合理化する最大の理由であり、小泉首相が戦争を支持した最大の根拠にしていた大量破壊兵器について、米英の議会では、両国政府による情報操作疑惑が問題になっています。小泉首相による戦争支持の「大義」が「根底から揺らいでいる」(小泉議員)事態になっています。

 小泉首相は衆院で、国連安保理決議一四八三が、イラク戦争を正当化したものではないことを認めています。小泉議員は「フセイン政権転覆を目的とした征服戦争につづく占領体制への自衛隊派兵に、どんな『大義』があるのか」と追及しました。

 小泉首相は、イラク戦争を「累次の安保理決議に合致した行動」とくりかえし答弁。決議一四八三が軍隊派遣を要請していないことを認めたうえで、自衛隊派兵が「わが国の主体的な判断」と言いはるばかりでした。

 占領支援の「大義」も示せず、法案が「自衛隊派遣、先にありき」であることをきわだたせました。

占領軍支援すればイラク国民は反感

 首相 イラク国民の主張を的確に把握しつつ国づくりを支援し、評価を得られるようつとめていく。

     ◇

 小泉議員は、「米英占領軍がイラク国民から歓迎されず、逆に反感と憎悪を増幅させている」と指摘し、「自衛隊が米英軍を支援しても、無法な占領に対するイラク国民の反感・抵抗は起こらないのか」と迫りました。

 小泉首相は「抵抗はない」とはいえませんでした。

 実際、「ガラガラヘビ作戦」など米英軍によるフセイン残党の掃討作戦で多くの一般市民が拘束されるなど、重大な人権侵害が発生。イラク南部では英兵六人が住民によって殺害されています。首相は掃討作戦への支援について、「イラクの安全・安定を回復する活動に含まれない戦闘作戦は支援の対象とはならない」と答えました。しかし、政府は米英軍の活動を「国連安保理決議一四八三にもとづく、イラクの安全・安定に寄与する活動」と評価しています。

「非戦闘地域」の活動政府見解は虚構

 首相 自衛隊の活動はそれ自体武力の行使にあたらず、活動地域を「非戦闘地域」に限っていることから、他国による武力行使との一体化の問題も生じない。

     ◇

 政府は、イラクに「非戦闘地域」を設けることで、自衛隊の活動が武力行使にならない「制度的担保」になると繰り返してきました。

 しかし、「戦闘地域か非戦闘地域かの区別ができるという政府見解の虚構は明白」(小泉議員)です。そのことは連日のように米英軍や市民に死傷者が発生しているイラクの現実に加え、衆院の審議を通じても明白になっています。

 政府自身、(1)イラクの治安が悪化している(2)非戦闘地域がいつでも戦闘地域に変わりうる(3)占領軍に対する攻撃は軍・諜報(ちょうほう)経験者による組織的・計画的な攻撃である可能性は排除できない、などの認識を示しています。

 それでも小泉首相は、「わが国の情報や諸外国の情報を総合的に分析して(非戦闘地域を)判断する」と繰り返します。しかし、主要情報源の米軍自身「全土が戦闘地域」(マキャナン占領軍司令官)との認識を持ち、不意打ちで死傷者が絶えないことも衆院で指摘されています。

 首相は衆院の審議の到達点を踏まえず、従来とまったく変わらない答弁に終始しました。


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