日本共産党

2003年7月9日(水)「しんぶん赤旗」

大量破壊兵器問題

米政権、誤り認める

イラクのウラン入手疑惑で


 【ワシントン8日浜谷浩司】ブッシュ米政権は七日、イラクのフセイン政権が核兵器開発のためにアフリカのニジェールからウランを入手しようとした、とする主張が誤りだったことを初めて認めました。

 ワシントン・ポスト紙(電子版)によれば、ブッシュ政権の高官が同日、一部記者団の求めに応じて声明を示しました。声明は「今日分かっていることからすれば、イラクがニジェールからウランを入手しようとしているとの指摘は、(ブッシュ大統領の)一般教書演説に盛り込むべきではなかった」というものです。

 同紙は、声明がホワイトハウスの承認を得たものと伝えています。

 ブッシュ大統領は一月二十八日の一般教書演説で、英国政府が得た情報だとして、ウラン入手疑惑を主張。ブレア英政権はこの四カ月前、ウラン入手疑惑を政府文書で挙げていました。

 ところが、英下院外交委員会が七日に発表した調査結果は、英政権が政府文書でこの疑惑を挙げたことを問題にし、米中央情報局(CIA)がその時点ですでにこの疑惑を否定していた、と指摘しました。

 また、CIAの依頼を受け、アフリカでこの問題の現地調査を行ったウィルソン元駐ガボン米大使が六日、ブッシュ政権は情報が偽りであることを知っていたはずだ、と明らかにしています。

 ブッシュ政権高官の声明は、こうした流れを受けて、米政権として情報の誤りを認めざるを得なくなったものです。

 フセイン政権が、生物・化学兵器だけでなく核兵器も開発している、とブッシュ政権が主張したことは米国を対イラク戦争に駆り立てる重要な要素になりました。米議会は昨年十月、イラクへの武力行使を容認する決議を採択しました。これに賛成した議員の間では、「核兵器開発の疑惑こそが関心の的だった」(ワックスマン下院議員)と指摘されています。


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