2003年7月10日(木)「しんぶん赤旗」
英国の下院外交委員会が七日に発表したイラクの大量破壊兵器に関する報告書の要旨は次の通りです。
一、イラク内の信頼できる人的情報へのアクセスが限られた結果、英国は米国の技術的情報や亡命者の情報に頼りすぎた。
一、イラクの化学生物兵器についての政府の断定が支持されるかどうか述べることは時期尚早である。
一、イラクがニジェールからウランを購入しようとしたとする偽造文書の存在について、英国の情報当局がCIA(米中央情報局)から初めて情報提供を受けた日付を、外相は委員会に報告するべきである。政府はイラクがアフリカから相当量のウランを入手しようとしたという九月文書での判断をどういう証拠に基づいて行ったのか、またその言及がいまだに正しいと考えるのかどうか、説明するべきである。
一、イラクが大量破壊兵器を「四十五分以内に実戦配備できる」という主張は、単一の、確証のない情報源に基づいていた。政府はなぜこのような情報を重要視したのか、九月文書にある同情報の記述が依然として正しいと考えるのか、説明するべきだ。
一、首相府のキャンベル報道・戦略局長は「四十五分」の部分の挿入には関与しなかった。キャンベル氏あるいは特別顧問が情報問題についての会合を主宰することは誤りであり、このやり方は停止すべきである。
一、九月文書は、当時入手可能だった情報に十分基づいていた。ただしそのうちいくつかが強調されたことを懸念する。政治的な動機による干渉があったという主張については確証はない。
一、二月文書は逆効果だった。同文書の作成によって、政府は戦争の論拠の信頼性、他の文書の信頼性を掘り崩した。
一、首相がその出所を認識しないままに「いっそうの情報」として下院で二月文書に言及したことは、首相としてふさわしくないものであり、状況をさらに悪化させた。
一、政府が著者を明示しないで作品を盗用し、著者の了解なしに修正したことはまったく許されない。そうした文書を国会に提出したことは根本的に誤りである。
一、閣僚らが本委員会に対し、情報文書や関係者へのアクセスを引き続き拒否していることは、国会が本委員会に依頼した作業を実行することを妨害している。
一、九月文書は、統合情報委員会が可能なかぎり完全、正確に作成した文書である。しかしこの種の文書としては過度の強調を含んでいた。イラクの大量破壊兵器、あるいはその破壊の確固とした証拠が見つからない限り、九月文書の正確性についての結論はまだ出ない。
一、二月文書は誤って扱われ、その出所に関しても不正確に伝えられ、この結果、逆効果なものになった。