2003年7月10日(木)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 JAS(日本農林規格)認定の国産有機農産物が、外国産より入手困難なのはなぜですか。(東京・一読者)
〈答え〉 一九九九年のJAS法(農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律)改正で、二〇〇一年度からJAS基準の検査・認証を受けた農産物や加工食品に「有機JASマーク」の格付け表示ができることになりました。JAS認定の農産物以外は、「有機」「オーガニック(“有機”を意味する英語)」などの表示はできなくなっています。
農林水産省が発表した〇一年度の有機農産物の格付け実績によれば、外国格付けの有機農産物が約十五万五千トンにたいし、国内格付けの有機農産物は約三万四千トンと、約五分の一です。野菜は外国産二万六千トンにたいし国内産二万トン、大豆は外国産六万一千トンにたいし国内産一千トンです。認定有機農産物じたいが希少ですが、国内産は外国産に比べても入手困難です。
これは、いまの制度が、有機農業の育成とは必ずしも結びついていないためです。たとえば認証基準は、北米や欧州の冷涼・乾燥地域を中心にした国際基準をもとに、およそ三年以上、農薬や化学肥料を一切使用しない農地で栽培することとしました。高温・多湿の気候などから雑草や病害虫との苦闘が不可避の日本でこの基準を実施するのは特別の困難が伴うのに、必要な手あてもなく一律に適用することには強い批判があります。
この点、欧州などは基準を設けるだけでなく、有機農業や減農薬などの環境保全型農業にとりくむ農家には、減収分を補てんするなどの価格・所得保障政策を整備してきました。日本では融資や課税上の優遇措置しかなく有機農業などにとりくむ農家は減収も覚悟する状況です。
認証制度への国の支援も乏しく、認定料や毎年の調査料が高額なことなども農家を制度から遠ざけています。消費者が手軽に国産有機農産物を選べるようにするためにも、これらの問題の改善が必要です。
(博)
〔2003・7・10(木)〕