日本共産党

2003年7月11日(金)「しんぶん赤旗」

イラク特措法危険答弁次つぎ


官房長官

自衛隊派兵へ恒久法

急いでやりたい

 福田康夫官房長官は十日の参院外交防衛委員会で、自衛隊の自由な海外派兵を可能とする恒久法の法制化について「(作業は)急いでやりたい」とのべ、そのために「大綱」を作成する考えを明らかにしました。自民党の桜井新議員の質問に答えたもの。

 政府はこれまで、自衛隊海外派兵のための恒久法について「将来の検討課題」(小泉純一郎首相)としてきました。福田長官の答弁は、政府として初めて、法制化に向けた作業を急ぐ意向を示すとともに、具体的な手順に踏み込んだものです。

 福田長官によると、自衛隊による多国籍軍支援などを提言した同長官の私的諮問機関「国際平和協力懇談会」(座長・明石康元国連事務次長)の報告(昨年十二月)をもとに、イラク特措法案の内容を踏襲しながら、法制化を進めます。自衛隊法や警察法などの改定も伴う「相当、大きな法律」(福田長官)になります。

 福田長官は、恒久法に地方自治体の職員や民間人の動員を盛り込むことまで明らかにしました。さらに、作成した「大綱」を公表して、「野党の賛同も得ながら作業を進めたい。(作業は)大綱だけでも半年やそこらではいかない」とのべ、一定の時間がかかる考えを示しました。

 福田長官は、恒久法の法制化について「日本がこれから国際社会で生きていくための道筋だ」とのべました。


防衛庁長官

拉致隊員の奪還には

武器使用も可能

 石破茂防衛庁長官は十日、参院外交防衛委員会で、イラク特措法案で派遣された自衛隊員が拉致された場合、武器を使っての奪還作戦が事実上可能だとする考えを示しました。公明党の遠山清彦議員への答弁。

 法案は、自衛隊員が、自己または自己と共に現場にいる他の自衛隊員を防衛するために武器を使用することができ、「急迫不正」の侵害に対する「正当防衛」の範囲で、相手に危害を与えることも可能だとしています。

 遠山氏は、拉致された自衛隊員のいるところへ救出隊員が向かった場合、「拉致された自衛隊員の立場に立てば、十分急迫不正の侵害だ。(拉致された自衛隊員の)代わりに(救出に向かった)自衛隊員が(武器使用の)権利を行使することはダメなのか」と質問しました。

 石破長官は「満たす場合はありうる」と答弁。捜索した結果、拉致された自衛隊員と救出隊員が「ともに所在する状況」になれば、拉致された自衛隊員の防衛のために救出隊員が武器使用する条件が「充足される」「(武器使用を定めた)一七条がワークする場面が発生する」とのべました。

 政府はこれまで、自衛隊員が拉致された場合、「武器を使って救い出す行為は、武器使用を自己または自己とともに現場に所在する隊員等の防衛に限定している趣旨から、これは行えない」(一九九一年十一月の衆院PKO特別委)と説明してきました。

 石破長官は、武器を使った奪還作戦を最初から前提にして行うことはできないとしつつ、「言葉の遊びといわれるかもしれないが、捜索、正当防衛、武器使用が積み重なって、結果としては、同じようなことが生じる」と答弁しました。


首相

隊員が襲われたなら

殺し、殺される

 小泉純一郎首相は九日午後の参院外交防衛・内閣委員会の連合審査会で、イラク特別措置法案に基づく派遣自衛隊員の武器使用に関連し、「野盗や強盗に襲われて殺される可能性はあるかもしれない。(反対に)強盗と戦って相手を殺す場合もないとは言えない」と述べ、武装強盗などに襲われた場合は、武器で殺傷するケースも想定する必要があるとの認識を示しました。黒岩宇洋氏(無所属)への答弁。


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