2003年7月12日(土)「しんぶん赤旗」
【パリ10日浅田信幸】フランスのドビルパン外相は、ラムズフェルド米国防長官がイラク安定化部隊に仏独の参加要請を示唆したことについて、十日付仏紙フィガロのインタビューで、「国連平和(維持)軍」の法的な枠組みがない限り派兵しないとの立場を表明しました。米英がイラク占領の根拠にしている安保理決議一四八三は派兵の根拠にならないとの見方を示した発言です。
外相は、イラク問題について「当初から解決策は軍事的である前に政治的なものだ」と述べ、現時点では「イラクの速やかな全面的主権回復」を促すべきだと指摘しました。そのうえで「国連が安全保障の責任を負い、イラクの主権回復という政治的プロセスを組織すべきだ」と改めて強調し、安保理決議一四八三が「いまでも現状に合っているのか検討すべきだ」との判断を明らかにしました。
派兵については、戦争に反対したフランスが「(米英)連合軍に加わることは一貫性を欠く」とし、仏軍派遣がありうるとすれば「国連平和軍の枠組みにおいてのみ想定される」と述べました。
またイラク戦争に反対の立場を貫いたことでは、「もちろん戦争か平和かが問題だったが、それ以上に新国際秩序を基礎付ける原則とルールの問題だった」とし、「先制的行動が国際政治のルールになることをどうして容認できるのか」と、米国の先制攻撃論を批判しました。
【ベルリン10日片岡正明】ラムズフェルド米国防長官がイラク安定化部隊に仏独の参加を要請したことについて、ドイツ国防省報道官は十日、「イラクへの派兵を検討するためには国連の強固な関与が必要だというドイツの立場は変わっていない」とのべ、独軍の派兵は国連軍の枠組み内でのみ可能であるとの立場を、あらためて示しました。