2003年7月15日(火)「しんぶん赤旗」
【カイロ13日小泉大介】米英軍による占領が続くイラクで十三日、占領軍当局の下でイラク人が一定の権限をもち、正式政権発足までの事実上の暫定政権である「イラク統治評議会」が発足しました。
評議会は暫定閣僚の任命、予算の承認、新憲法制定への関与などの権限を持っています。しかし、米英占領当局は評議会の決定を拒否する権限を握っており、米英の出方次第では、イラク国民の反発と抵抗を激化させる可能性もあります。
米軍当局が任命した同評議会は、反フセイン体制の活動をしてきた十二の政党・組織を中心に二十五人で構成。イラクの人口構成にそってイスラム教シーア派十三人、同スンニ派五人、クルド人五人、その他二人となっています。占領当局が排除を予定していたイラク共産党のムーサ書記長も加わっています。女性も三人入っています。
初会合後の式典では評議会を代表しイスラム教シーア派指導者のムハンマド・バハル・ウルーム師があいさつ。「統治評議会の設立は独裁体制崩壊後のイラク国民全体の意思を体現している」とし、治安回復や経済復興への抱負を語りました。
同席したデメロ国連事務総長特別代表は、イラク人が必要とする限り国連は支援を惜しまないと語りました。
現地からの報道は、統治評議会発足への多くのイラク国民の歓迎の声とともに、「評議会が米国の支配の道具となることを危ぐする」声も伝えています。