日本共産党

2003年7月15日(火)「しんぶん赤旗」

印がイラク派兵拒否

「国連の委任ない」理由に


 【ニューデリー14日小玉純一】インド政府は十四日、内閣安全保障委員会を開き、米国が要請していたイラクへの派兵を拒否することを正式決定しました。

 委員会後シンハ外相は記者団に、派兵には「国連の明確な委任」が必要だとの立場を示し、「インドの長期的国益、イラクの人々の懸念、湾岸諸国や米国との関係を考慮した」と語りました。インドはイラクの人々の緊急要求、治安や政治的経済的復興の要求、インフラ、医療、教育などで貢献する用意があるとも述べました。

 米側は五月以来、一万七千人規模の派兵を打診し、インドのアドバニ副首相が六月上旬に訪米した際には、ブッシュ大統領、ラムズフェルド国防長官が直接派兵を求めました。

 しかし有力週刊誌が今月八日に行った世論調査では69%が派兵反対。理由は「米の侵略が国連に認められていない」51%。「インド兵が殺される」31%でした。五日のコルカタの一万人集会をはじめ派兵反対運動が各地で行われ、「派兵は米国のイラク侵略の追認であり反対」との声が聞かれました。

 この世論を背景に、ほとんどの政党が派兵に反対し、最大与党のインド人民党(BJP)も態度を保留。国会では四月、イラク戦争に遺憾の意を表明し、米英軍の早期撤退を求める決議が全会一致であがっていました。

 バジパイ首相はインド軍がイラクで攻撃を受ける危険をおかしたくないとしていました。年間一億三千万ルピー(約三億三千万円)と見積もられる費用負担も問題になり、内閣安全保障委員会の委員は「皮肉なことに、インド軍が攻撃を受けるためにインドが金を払うことになる」と述べました。米国がイラクの将来について見通しを示すことができずにいることも、派兵の論拠を弱めました。


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