2003年7月15日(火)「しんぶん赤旗」
【ワシントン13日浜谷浩司】イラクが核兵器開発のためにアフリカからウランを入手しようとしたというブッシュ米大統領が一月に行った一般教書演説が事実無根だった問題で、米紙ワシントン・ポスト十三日付は、同大統領が昨年十月に演説で同様の指摘をしようとした際、米中央情報局(CIA)がこれに反対し、演説原稿から削除させていたと報じました。
これが事実なら、情報の誤りをCIAが十分認識していただけでなく、ホワイトハウスもそれを承知していたことになります。教書演説の誤りをCIAの責任だとした、十一日の同大統領とライス大統領補佐官(国家安全保障問題担当)の発言や、その後のテネットCIA長官の声明の信ぴょう性が揺らぎます。
同紙によれば、テネット長官は自ら、ハドレイ副大統領補佐官(国家安全保障問題担当)らホワイトハウス高官にかけあい、問題の指摘を演説原稿に入れるべきでないと主張したといいます。
今回明らかになった経過は、「教書演説に問題の個所を盛り込むことに、ホワイトハウスが躍起になったことを示す」と同紙は指摘。「新たな事実の表面化とともに、ブッシュ政権がそれまで示したのと異なった像が見えてくる」との見方を示しました。
一方、ライス大統領補佐官やラムズフェルド国防長官は同日のテレビ番組で、大統領の教書演説は「正しい」と主張しました。ライス補佐官はCBSテレビで「ウランを入手しようとしたかどうかという一文にこだわって、大統領が戦争したというのは、ばかげた話だ」と強弁し、「英国政府はいまでも指摘を取り消していない」と述べました。ラムズフェルド国防長官もABCテレビで、英政府にげたを預ける姿勢を強調しました。