2003年7月19日(土)「しんぶん赤旗」
【ワシントン17日浜谷浩司】「議員の皆さん、けっして謝ってはならない。世界に向かって、アメリカをなぜ誇りに思うのかを語りなさい」
ブレア英首相の演説に、米上下両院議員は十九回も起立し拍手を送りました。しかし、米議員でさえ、居心地の悪さを感じた人もいたはずです。
ただならぬ演説でした。「帝国主義」の言葉が二度飛び出しました。
「失敗した国々が、テロの国が、民主主義と繁栄の国に変わるのを見るとき、『アメリカ帝国主義』批判のなんと無内容なことか」
「私たちが、タリバンとフセインを取り除くとき、これは帝国主義ではない。抑圧された人々にとっては解放なのだ」
アフガニスタンで、イラクで、爆撃で肉親を失った人々は、演説に出てきません。
演説に出てこないものは、ほかにもあります。その一つが「国際法」です。力が決めるなら、国際法はじゃまでしかありません。
「最終的には、力だけでは悪を倒せない。究極の兵器は銃ではない」
何かといえば、たたかう「信念」だというから、「力」の信奉者に違いありません。しかも、価値の基準は米国にあるというのです。
米国が、自国への「脅威」を口実にして、英国とともに、攻撃を受けていないにもかかわらず、国際法に照らして違法であるにもかかわらず、他国を侵略した。それがイラク戦争です。
本国で、米国の手先よばわりされる英首相。米議会で熱烈な歓迎に感謝を述べた後、「率直に言って、ふだん私が受けている歓迎よりも温かい」と苦笑しました。このあと日韓中を歴訪して帰国するブレア首相を、厳しさを増す国内世論が待ち受けています。