日本共産党

2003年7月23日(水)「しんぶん赤旗」

電気通信の参入・撤退などが規制緩和されるが


 〈問い〉 電気通信事業の参入・撤退規制などが緩和されるそうですが、どんな影響がありますか。(東京・一読者)

 〈答え〉 電話線や光ファイバー、無線回線などによる情報通信サービスのあり方を規定する「電気通信事業法」が、今年七月、大幅に改定されました。NTTなどの回線設備を設置して通信サービスを提供する「第一種」電気通信事業と、他者の回線設備を借りてサービスを提供する「第二種」電気通信事業の区分が廃止され、「第一種」事業者の参入・撤退の事前許可制がなくなるなど、規制緩和を進めるものです。

 かつては自前の回線設備をもたない通信サービスは付随的なものとみられ、事前許可も不要とされるなど規制も緩やかでしたが、今日では、数百万人が加入する巨大なインターネット・プロバイダーも登場するなど大きな変化が生まれています。電話事業を基本に考え、回線設備をもつ「第一種」事業者をおもな規制対象とする現行法は、実情にあわなくなっていました。

 しかし単純な規制緩和・競争導入論による今回の改定は、情報サービスをだれもが安心して利用できるよう整備する政府の責任を放棄したもので、電気通信事業の健全な発展も阻害されます。たとえば参入・撤退規制の緩和で競争が激化すれば、業者の倒産・売却などによる個人情報流出の危険も増大します。NTTなどにも個別大口客への割引といった「相対契約」が解禁されますが、そのツケは小口利用者の料金にはね返ります。料金・契約約款の作成義務なども原則廃止され、料金体系がさらに不透明になります。

 インターネットの消費者トラブルが急増していますが、賠償額が訴訟費用にもみたないなどの理由で、泣き寝入りしている消費者が大半です。専門知識に乏しい消費者を専門家が支援する調停制度などが提起されていましたが、今回は見送られ、利用者への説明など、事業者まかせの義務規定を盛り込むにとどまっています。

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 〔2003・7・23(水)〕


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