2003年7月26日(土)「しんぶん赤旗」
派兵の具体化を許さないたたかいを/イラク派兵法の強行にあたって 志位委員長が談話
自民、公明、保守新の与党三党は二十六日未明、参院本会議でイラク特措法案の採決を強行し、賛成多数で可決、米英のイラク軍事占領を支援する同法は成立しました。日本が戦後初めて、現に戦闘が行われている戦場に自衛隊の陸上部隊を送り込む、憲法違反の暴挙です。小泉内閣にたいし二十五日午後、日本共産党など野党四党が衆院に内閣不信任決議案を提出しましたが、与党の反対多数で否決。日本共産党の穀田恵二国対委員長が賛成討論に立ちました。
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参院本会議で、法案の反対討論に立った日本共産党の小泉親司議員は「戦地イラクへ派兵する究極の違憲法案が、きわめて不十分な審議時間で強行採決されたことを糾弾する」と強調。「自衛隊のイラク派兵を許さないためにさらに奮闘する」と表明しました。
本会議に先立つ二十五日午後の参院外交防衛委員会では、小泉純一郎首相出席で総括質疑を行い、野党が質問したあと、松村龍二委員長(自民)が一方的に質疑終局を宣言。傍聴におしかけていた与党議員が委員長席に殺到してとりまき、野党委員の抗議を押し切って怒号の中で強行採決しました。
同日午前の質疑では、日本共産党の吉岡吉典議員が、「満州事変」(一九三一年)を当時の政府の全閣僚が「沈黙」して容認し、戦争に突入していった歴史を紹介。「『沈黙の協力』を行ってはならない。かつての教訓を生かした判断を行わなければならない」と強調し、廃案を主張しました。
野党側は、委員会での強行採決に抗議し、松村委員長の解任決議案を提出。午後十一時から開かれた本会議は未明までかかりました。解任決議案の賛成討論に立った日本共産党の宮本岳志議員は「徹底審議し、法案の問題点を解明することこそ委員会の責務だった」と審議を打ち切った与党の姿勢を批判しました。
同日、野党四党は、イラク特措法案の成立を狙う小泉内閣の不信任決議案を衆院に提出。同日開かれた衆院本会議で与党側の反対多数で否決されました。
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日本共産党の志位和夫委員長は二十六日、イラク派兵法の強行にあたり次の談話を発表しました。
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一、二十六日未明、政府・与党は、イラク派兵法の採決を参議院本会議で強行した。法案の無法性、危険性が、衆参の質疑をつうじて明らかになり、どの世論調査でも、国民の多数が反対するなかで、法案を強行した与党の暴挙にたいして、怒りをこめて抗議するものである。
一、派兵法は強行されたが、たたかいはこれで終わるものではない。イラクへの自衛隊派兵が具体化されるのはこれからであり、実際の派兵を許さないたたかいが重要である。
この法律は、幾重もの虚構のうえにつくられたものであり、自衛隊派兵をむりやり具体化すれば、深刻な矛盾が露呈することはさけられない。イラクは「全土でゲリラ戦争」といわれる事態となっており、自衛隊の派兵は、憲法違反の武力行使につながることは、火をみるよりも明らかである。
さらに、米英がイラク戦争の最大の「大義」とし、日本政府が戦争支持の最大の理由とした大量破壊兵器はいまだに発見されず、戦争の無法性、軍事占領の不法性は、いよいよ明りょうとなっている。
自衛隊派兵を強行するなら、不法・不当な米英の軍事占領に、日本が加担することになり、そのもたらす危険と矛盾はきわめて深刻なものとなる。
わが党は、憲法違反の自衛隊派兵の具体化をやめさせるため、ひきつづき国会内外で全力をあげて奮闘するものである。