2003年7月26日(土)「しんぶん赤旗」
「なんで? ひどすぎる」「世論を無視してる」と怒りの声をあげる傍聴者たち−−。国会終盤の二十五日、自民・公明などが採決を強行したイラク派兵法案。雨のなか国会にきた人たちが強い抗議の意思をあらわしました。参院外交防衛委員会。抗議と怒号のなかの強行採決で、松村龍二委員長は抱えられるようにして退室しました。傍聴者は何が起こったのか分からないまま委員会室を出ました。
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黙って出口へ向かった高橋みはるさん(43)。
「人間の最低の見本を見た気持ちです。計算ずくで決めていく。誰も戦場へ行きたいと思ってないでしょう。石破防衛庁長官は自分の子どもをイラクへやる覚悟があるのかしら? それでも許せないけど」と話します。
「だけどあきらめたら、あちらの思うつぼ」と語る高橋さん。「『挫折禁止』と自分に言い聞かせています」と語りました。
この日、東京都内の原田祐子さん(36)は、娘のカディージャちゃん(2っ)を連れて国会前の座り込みに参加しました。
「国会審議がここまでもつれこんでいるのは、法律の中身がおかしいということが市民の中に知られてきているからだと思う。首相の答弁は子どものけんかの開き直りみたい。自衛隊を送っても、イラクの人は『ありがとう日本』と絶対思わない。逆に日本に対して寄せてくれていた親近感とか信頼を裏切ることにしかならない」と語ります。
弟と座り込みに参加し本会議を傍聴した東京・新宿区の黒澤潤子さん(20)。蒸し暑いなか、傍聴するために黒のスーツ姿で来ました。
「必要なのは自衛隊じゃない。非戦闘地域で活動するなら医師やボランティアでいい。世論を無視してすすめていることに憤りをおぼえます。みんなの知らないうちに決めようとしているのは戦前の状態と同じだと思う」と怒ります。
「自衛隊のイラク派兵を許すな!」の声は若い人たちにひろがっています。姉と二人で国会前にやってきた高校二年生は「日本の政府はもう少ししっかりしてほしい。アメリカの言いなりで虎の威を借る狐。非戦闘地域がどこかわからないような首相に日本の将来を任せられない」と厳しく批判しました。
仕事を終えてから、かっぱ姿で国会前にかけつけ、「バイクなので深夜になっても頑張りたい」と話すのは、東京・世田谷区の近藤玲子さん(41)。「軍隊を派遣することへの説明がされていない。しなければいけないのは憎しみの連鎖を断ち切ること。イラク反戦のワールドピースナウで潜在的な力が発揮されたことが私にとって一縷(いちる)の希望です」