2003年7月28日(月)「しんぶん赤旗」
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難病制度の変更にともない患者からの認定申請が各都道府県で行われています。医療費の自己負担限度額が現行の一律定額から所得額による段階区分にかわります。所得額の算定対象者が、必ずしも患者本人でないために混乱がおきています。
厚生労働省は算定対象者を「生計中心者」=「患者の生計を主として維持する者」としています。生計中心者が患者本人だと、そうでない場合にくらべ自己負担限度額は半額になります。患者が生計中心者と認められるかどうかで自己負担は大きく変わるのです。
生計中心者を誰とするかは患者の申し立てによります。関東のある県のAさん(五十代)は正規の常勤雇用で働き、「人並みに暮らせる収入」を得ています。Aさんは自分が「生計中心者」だという証明として、住民票で「世帯主」、健康保険証で「本人」であることを提示しました。
ところが、申請を受け付ける保健所の窓口はAさんを「生計中心者」とすることを渋りました。共働きの妻の収入が多いため、「生計を主として維持するもの」を妻とみなしたからです。
「それは保健所職員の勘違い」と県の担当係。国も県も「世帯の構成員の中で、患者の収入が相対的に少なくても、誰かに扶養されていないなど証明されれば生計中心者とみなす」といいます。
首都圏に住むBさん(四十代)は病気が進行し常勤で働けなくなり、パートにいっています。ひとり暮らし。自分の収入だけでは生活できず、年金暮らしの母親の援助をえています。本人が「生計中心者」として申請するつもりです。
Bさんのように、病気とたたかいながら必死で自立しようとする独身の患者は珍しくありません。こうした経済状態の患者を「生計中心者」とするかは「ケースバイケースで県の判断」(厚労省)となります。
当該の担当課は「本人が世帯主でも、非課税だったら、どうして暮らせるのか、調査して判断する」といいます。隣の県にこのようなケースをどうみるか尋ねると、「生計中心者は本人の申し立てが基本だから信じる。疑ったら貯金の状況まで調査することになる。そこまではしない」との返答でした。
県によって「生計中心者」の判断が分かれ、同じ境遇の患者でも負担が倍も違ってきます。日本共産党の小池晃参院議員はいいます。「制度改定にあたり十分な周知期間がないことが問題です。難病で苦しむ患者への負担増のおしつけはやめ、自己負担額は家族でなく患者本人の所得を基準にすべきです」