2003年7月30日(水)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 国際希少種の取引の審査機関を、国指定から登録制に緩和するって本当ですか。(高知・一読者)
〈答え〉 一九九三年施行の「種の保存法」(絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律)は、国内希少種の保護法であるほか、絶滅危ぐ種の国際取引禁止などを定めたワシントン条約の国内実施法でもあります。同法で「国際希少野生動植物種」と指定された種の取引は原則禁止です。しかし、“商業目的で繁殖させた”“条約適用前に取得した”などの「登録」や、象牙などを“適正に入手”したとの「認定」があれば、譲渡などができます。
この登録・認定は、これまで国が指定する財団法人「自然環境研究センター」が行ってきました。しかし、今年六月の「種の保存法」改定で国の指定制が廃止され、要件をみたせば民間法人も審査機関として登録され参入できるようになります。小泉内閣が昨年決めた「公益法人改革」の一環です。
いまの登録・認定制度でも、密猟・密輸などの疑いのある動植物を排除できません。象牙は一九九〇年代から国際取引が原則禁止のはずですが、二〇〇一年も八十八本の新規登録がありました。そのうち四十三本は輸出国などの証明書類もないものですが、第三者の“むかし適法に取引したもの”などの証言も認める法の運用によって、違法性が立証されない限り登録されています。ここにあらたな法人が参入すれば、取り扱いを増やすための審査体制の緩和なども懸念されます。
しかも、毎年、事業計画や収支予算を提出させ認可する制度もなくなり、国の監督責任も大幅に後退します。昨年十二月、ワシントン条約の会議で南アフリカなど三カ国に条件つきで象牙輸出が認められましたが、輸入国に想定されるのは日本だけで、国の責任後退が国際批判を呼ぶのは必至です。他方、「公益法人改革」といっても天下り問題などの核心部分には一切手をつけていません。
(水)
〔2003・7・30(水)〕