2003年7月30日(水)「しんぶん赤旗」
日本共産党の不破哲三議長のチュニジア立憲民主連合大会へのメッセージはつぎのとおりです。
議長団ならびに代議員のみなさん。
私は、日本共産党を代表して、二十一世紀最初に開催される、立憲民主連合の歴史的な大会に、心からの祝賀と連帯のあいさつを送ります。激動の世界情勢のもと、あなたがたの大会が、大きな成功をおさめることを、強く願うものです。
日本共産党は、あなたがたの政府とは、一九七七年に東京にチュニジア大使館が開設された最初の時期から友好的な交流を続け、私自身も、訪日したハビブ・ベンヤヒア外務大臣との会談をはじめ、交流の輪にくわわってまいりましたが、チュニジアを訪問するのは、今回がはじめてであります。この大会にあたって、あなたがたの党の招待を受け、古い歴史と豊かな文化をはぐくんできた美しい国、文明の十字路とも形容されてきたチュニジアを訪問することができ、独立から約半世紀のあいだにチュニジア人民が達成した重要な成果に直接ふれることができたことを、特別の喜びとするものです。
今日の大きな成果を実現する上で、立憲民主連合が、アビディン・ベン・アリ共和国大統領を先頭に、重要な役割を果たしてきたことを、私たちはよく知っています。私たちはまた、あなたがたが、国際政治の舞台で、非同盟運動、アラブ連盟、イスラム諸国会議機構、アフリカ連合の積極的な加盟国として、また国連の重要な一員として、世界の平和、諸民族の独立と主権のために、大きな活動を展開されていることに、注目してきました。これらの活動こそは、あなたがたの長期にわたる民族独立闘争、困難とともに栄光に輝いたこの闘争の歴史と伝統を引き継いだものだ、と思います。
代議員のみなさん。
はじめてチュニジアを訪問したものとして、この機会に、日本共産党についての簡単な自己紹介をさせていただきたい、と思います。
日本共産党は、党員は四十万人、国会議員は四十議席で、日本の七つの主要政党の中で、第四党の地位を占めています。全国の地方議会での議員は総数四千二百名、この分野では政権党を抜いて第一党であります。
私たちは、人類社会が、将来、資本主義をのりこえて発展してゆくことを展望している社会主義の政党ですが、社会の発展については、その国の国民のあいだで熟している問題を一つひとつ解決しながら、一段一段すすんでゆくという「段階的発展」の立場に立っています。そして、八十一年前の党創立の時から、「国民が主人公」を一貫した信条としてきた政党として、社会発展のどの段階も、国民の多数の合意をえてはじめて実現されるとする「多数者革命」を、根本的な立場としています。
この立場から、日本共産党は、今日、次の二つの点で、国の進路を大きく転換させる民主主義革命の実行を、政治目標として活動しています。
第一は、アメリカとの軍事同盟をやめて、アメリカの軍事基地をなくし、主権を全面的に回復した非同盟・中立の日本を実現することです。
第二は、国の経済政策を、大企業・大銀行の利益を中心とした立場から、国民の利益を中心にする立場に転換させることです。
この二つの転換は、「資本主義の枠内での民主的改革」に属することですが、それが実行されるならば、政治・経済・外交・軍事のあらゆる面で日本の面目が一新され、日本国民の活力が、平和と進歩の方向で発揮される新しい時代を開くものとなるでしょう。
代議員のみなさん、友人のみなさん。
世界の平和を擁護することは、諸国民が共通して取り組むべき最大の問題です。私たちは、そのためには、今日、国連憲章にもとづく平和の国際秩序をまもり抜くことが、人類的な課題になっている、と考えます。
イラクでの戦争は、明らかに、この秩序を破る覇権主義的な挑戦でした。これにたいして、世界の大多数の国の政府と人民が戦争反対の声をあげ、「国連憲章をまもれ」という立場で、大陸の違いを超えて団結しました。覇権主義の挑戦者は、戦場では一時的な勝利をおさめたかもしれません。しかし、政治的には、彼らの大義のなさと国際的孤立はいよいよ明白になりました。
イラク戦争に反対したこの国際的なたたかいを発展させ、「国連憲章にもとづく平和の国際秩序をまもり強化する」という一点で、同じ志をもつ諸国の政府、政党、民間団体、個人が、思想、宗教、信条を超えて力をあわせ、国際的な共同を発展させることが、いまたいへん重要な意味をもっています。
こういう国際的な共同を発展させるためにも、私たちは、異なる価値観をもつ諸文明間の対話と共存の関係の確立に、いちだんと力をそそがなければなりません。
中東和平の問題では、パレスチナ人民の民族自決の権利、独立国家樹立の権利を確固として擁護し、中東地域に、イスラエルをふくめたすべての国が、テロも報復戦争もない平和共存の状態を確立する、このことを国際社会の共同の事業としてなしとげなければなりません。
日本共産党は、世界で唯一の被爆国で活動する党として、この地球上から核兵器を廃絶する運動に、特別に力をそそいでいます。広島への原爆投下の日である八月の六日と長崎への原爆投下の日である八月九日に、毎年、原水爆禁止世界大会が開催されます。私たちは、この分野でも、国際的な協力がさらに発展することを願っています。
日本の進路の問題についていえば、日本共産党は、将来、日米軍事同盟からぬけだした日本が、非同盟諸国首脳会議に参加することを提唱しています。この方針が現実のものとなった日には、私たちの日本が、あなたがたと同じ流れに加わって、世界平和のために活動する、新しい、胸躍る条件が開けるわけで、私たちは、そういう日を早く到来させるために、奮闘するつもりです。
議長団ならびに代議員のみなさん。
日本とチュニジアは地理的には遠く離れていますが、この距離は私たちの友好と連帯の障害となるものではありません。私たち両党のあいだには、政治的、経済的な独立を重視する点でも、軍事同盟中心の世界を良しとしない点でも、平和の国際秩序を擁護する点でも、協力を強めるべき広範な共通の課題があります。国際平和と社会進歩のための共同を、ともに前進させようではありませんか。
最後に、大会の成功をかさねて願うとともに、今後とも、立憲民主連合と日本共産党、さらにチュニジアと日本両国人民のあいだの友好的な関係がいっそう発展し、強化されることを願って、あいさつを終わります。
二〇〇三年七月二十八日
日本共産党中央委員会議長 不破哲三