2003年7月31日(木)「しんぶん赤旗」
【ニューデリー29日小玉純一】米国のマイヤーズ統合参謀本部議長は二十九日、パキスタンを訪問し、カーン統合参謀本部議長らパキスタン軍首脳と会談しました。会談は主にアフガニスタン問題がテーマでしたが、米側が求めてきたパキスタン軍のイラクへの派兵問題も同議長の訪問の背景にあるものとみられます。この問題でパキスタン側は派兵には国連の傘が必要との立場を崩していません。
ムシャラフ大統領は六月下旬に訪米した際、米国の求めに応じて基本的にイラクに派兵すると表明しましたが、パキスタン当局者は派兵には国連やイスラム諸国会議機構(OIC)などの傘下であること、派兵の財政支出への援助などが望ましいとの立場を表明しています。
このため米国務省が二十八日発表した派兵決定国にパキスタンは含まれていません。
しかし、米側は、就任したばかりのアビザイド米中央軍司令官が二十三日にパキスタンを訪問し、ムシャラフ大統領と会談。特にイラク派兵問題を議論したと報じられています。さらにラムズフェルド米国防長官が二十六日の会見で、パキスタンの名前をあげたのに続いて、バウチャー米国務省報道官も二十九日、パキスタンがイラクの「復興と安定に貢献する可能性」を協議してきた国の一つだ、と述べています。
ムシャラフ大統領の派兵表明にたいしては「占領軍を助けるもの」「パキスタン軍が侵略軍になる」と国内から猛反発がでていました。このため七月九日には、政府・軍の首脳協議で「今は派兵の時期でない」と判断したという軍高官の言明が報道されました。二十一日には、外務省報道官が会見で、パキスタンは派兵の要求を受けているが、まだ決定はしていないと確認しています。