2003年8月4日(月)「しんぶん赤旗」
日本共産党の佐々木憲昭政策委員長代理は三日のNHK「日曜討論」に出演し、一日に閣議了解された二〇〇四年度予算の概算要求基準で、社会保障関係費の自然増分九千百億円を、年金の物価スライド適用などで二千二百億円圧縮する方向が打ち出されたことについて、「大変重大で影響は大きい」と批判しました。
佐々木氏は、消費者物価の変動を年金給付に反映させる物価スライドの実施により、予算上の影響は約千五十億円だが、年金支給総額でみた実際上の影響は八千億円以上にのぼり、厚生年金のモデル世帯(夫婦二人、四十年加入)の場合、年間約六万円もの給付減になるとの試算を具体的に示しました。
そのうえで、「予算で社会保障を支えないといけないのに、逆に社会保障をどんどん圧迫する。物価スライドは、年金だけでなく、児童扶養手当、被爆者手当に横並びで影響が出る。そのほかのものを含めると一兆円ぐらい国民負担増になる」と述べ、負担増政策の転換を求めました。
公明党の北側一雄政調会長は、物価スライドによる年金引き下げについて、「今年も一年分のみ引き下げをお願いしている。来年もその範囲ではやむを得ない」と容認しました。
佐々木氏は、小泉内閣の予算編成について、「公共事業の問題をとっても、具体的なムダを削る手だてがない。コスト削減という程度で、一つひとつの公共事業が本当に必要なのかどうか、その吟味がなされていない」と指摘。ムダ遣いにメスを入れたうえで、財源全体を社会保障、暮らし、雇用に手厚く回して日本経済と国民生活を支えていくべきだと主張しました。