2003年8月6日(水)「しんぶん赤旗」
政府は五日、二〇〇三年版の「防衛白書」を閣議で了承しました。五月の日米首脳会談で合意した「世界の中の日米同盟」の強化に言及し、日米が今後、アジア太平洋地域での協力をいっそう充実させるとともに、「よりグローバルな課題への取組」における連携強化を強調。自衛隊を地球規模に派兵する態勢づくりを前面に押し出した内容になっています。
白書は、ブッシュ米政権が強行したイラクへの先制攻撃の戦争について「脅威を放置するという妥協的な態度をとらず、…断固たる手段をとるという米国の強い意志と能力を示した」と賛美しています。
日本への本土侵攻である「着上陸侵攻の可能性は低い」とする一方、自衛隊の「国際的な任務」が「主要な活動の一つになった」と強調。自衛隊の海外派遣を念頭に「事実上『運用の時代』へと変化している」と主張しています。
福田康夫官房長官の私的懇談会「国際平和協力懇談会」が提言した、多国籍軍支援のための恒久法整備について「真摯(しんし)に受け止め」るとしています。
武力攻撃事態法など有事三法の成立を「歴史的転換点」と高く評価。今後、米軍支援法制の検討、戦時に国民を統制する国民保護法制の整備促進の必要性を強調しています。
米国の先制攻撃戦略に組み込まれるミサイル防衛について「研究・検討を加速化させていくことが必要」としています。