2003年8月9日(土)「しんぶん赤旗」
イラク戦争での民間人犠牲者を調査している英米の研究者・平和活動家の団体「イラク・ボディー・カウント」(IBC)は七日、推計約二万人のイラク民間人が負傷しているのに、占領当局は彼らの苦しみを無視していると非難する報告書を発表しました。報告書は七月六日までの各メディアの報道、独立研究者の推計を踏まえて、百七件の事件で最大一万九千七百三十三人の民間人負傷者が発生し、そのうち約八千人がバグダッド地域に集中していると指摘しています。
IBCが発表している最新の死者数(七日現在)は最小で六千八十七人、最大で七千七百九十八人です。
報告書は、被害者についての情報が不十分なため、最大推計数が負傷者の実情に近く、もっと多い可能性もあると見ています。米英占領当局が、両腕を失ったアリ・アバス君(12)のような耳目を集めた事例を除いて、負傷者への対策も補償措置も講じておらず、その数さえ把握しようとしていないのは許しがたいと指摘しています。
「負傷者は生存しており、おそらく治療を受けている。負傷の原因や種類、広がりは医療記録をはじめ、公式・非公式の記録で明らかになるはずだ」「負傷者の多くがなお苦難を抱え、われわれが適切に対応すれば悪条件は軽減されるだけに、調査・査定はなおさら急務だ」と述べています。また、二万人の負傷者に一人あたり一万ドルを補償したとしても合計二億ドルで、米国が占領のために投入している費用の二日分にもならないのに、こうしたことを拒否しておいて占領者が唱える「イラク国民の人心掌握」は可能なのかと批判しています。