2003年8月12日(火)「しんぶん赤旗」
日本共産党国会議員団日本映画振興チームは、政府に「日本映画振興への実効ある施策と公的支援拡充についての申し入れ」を行いました(五日)。日本映画再生への映画人の努力を応援する立場で、政府に施策実現を迫ったものです。
今年は、海外からも敬愛される小津安二郎監督の生誕百年・没後四十年。日本の映画人は、これまでもすばらしい作品を世界に発信しつづけてきました。そして、今も多くの若者が志し、国民が親しむ大事な文化の一つとなっています。
しかし、日本映画をめぐる現状には厳しいものがあります。映画館の閉鎖が相次ぎ、シネマコンプレックス(複合型映画館)では資金や宣伝力で圧倒するハリウッド映画が席巻しています。伝統ある撮影所の閉鎖・縮小が続き、撮影所がもっていた映画づくりの人材養成の機能も弱まっています。
こうした状況にたいして、映画人は日本映画再生のとりくみを強めてきました。ヨーロッパやアジア諸国では、映画を自国の大事な文化として位置づけ、映画人の努力を国が後押しし、とくに一九九〇年代以降、映画の復興がすすんでいます。
日本では二〇〇一年に制定された文化芸術振興基本法が、国民が文化を享受できるようにするための政治の責務をうたいました。映画をつくり楽しむための政治の責任が問われています。
文化庁は、映画振興に関する懇談会を設け、四月に「これからの日本映画の振興について――日本映画の再生のために」とした提言を発表しました。撮影所への支援や映画人の労働条件の改善、すべての日本映画フィルムの保存など、長年の映画人の要望を反映した十二の柱からなる政策提言がまとめられました。今度こそ本気で日本映画再生への支援をすすめることが政府に求められています。
日本共産党国会議員団は、これまでも日本映画への公的支援の充実を求めて質問を続け、積極的な答弁もかちとってきました。今回の申し入れは、映画懇談会の提言を、掛け声だけに終わらせず、緊急に実効ある施策として実現することを政府に迫るものです。
たとえば、映画フィルムの収集・保存は、特別に費用と場所がかかることから、民間だけで担えるものではありません。諸外国では、映画フィルムを文化財として国が保存する法的制度を確立し、保存のための国立施設を実現しています。
党国会議員団の申し入れは、映画懇談会の提言を受け、フィルム保存のための法的な制度を確立するとともに、プリント代を国が負担することなどの具体的な手だてを示し、その受け皿となるフィルムセンターを諸外国なみに独立させることを求めています。
日本映画上映のための支援や人材養成などについても、映画懇談会の提言に沿った形で具体的な施策を求めています。イギリスや韓国では、政府から独立した映画支援の総合的機関がつくられ、映画人の力も結集する形で支援がすすんでいます。申し入れは、日本でも国から独立した総合的な映画の支援機関を創設することを求めています。
今回の申し入れの一つ一つは日本映画をめぐる現状からいって急いで実施することが求められています。日本共産党は映画人と力を合わせ、実現するために力を尽くします。