2003年8月13日(水)「しんぶん赤旗」
全国生活と健康を守る会連合会(全生連・島田務会長)は、生活保護をはじめ最低保障基準の確立、児童扶養手当の充実など国民の切実な要求を二〇〇四年度政府予算に反映させよと、各省と交渉しました。
この交渉は、八日に厚生労働省、国土交通省、文部科学省にたいしておこなわれたもので、切り下げられた生活保護費を元に戻すこと、公営住宅の大量建設、アトピーなどアレルギー疾患を学校病に指定して就学援助の対象とすることなどが柱です。
生活保護の問題では、今年度から引き下げられた保護基準を元に戻し、高齢や母子加算の廃止・縮小をせず、健康で文化的な最低生活ができるようにすべきだと厚労省に要望しました。
夫が病気で仕事ができず娘も病気になり生活保護を受けた女性は、「家賃、光熱費を引けば、月一人あたり四万円以下で暮らしています。映画ひとつ見られない生活です。手当を切り捨てず復活してほしい」と訴えました。「家計調査などを基準にして」削減したという厚労省側の発言に怒りの声があがりました。
ケースワーカーが担当する世帯が基準の八十世帯を超え百三十世帯にもなっている実態がだされました。また、生活保護の申請用紙が福祉事務所の窓口に置かれていないケースが多いため、「申請する権利をまもるために用紙を窓口に置いてほしい」という発言が続きました。
母子家庭に支給される児童扶養手当の問題では、昨年八月の所得制限の改悪などにつづき、今年から(1)手当の支給が五年を経過したら減額(2)前夫から母親に渡す養育費だけでなく、直接子どもに渡す養育費をも収入に繰り入れる(3)正当な理由がなくて、求職活動など自立をはかるための活動をしないと手当を支給しない−などの改悪が強行されました。これを元に戻すよう求めました。
埼玉県から参加した母子世帯の母親は「三人目を産んだとき、相手のことを根ほり葉ほり聞かれて申請をとりやめたら、これまで受け取っていた二人の子どもの児童扶養手当も打ちきられた」と発言。福島県から参加した女性も「失業しているのに、四月から手当が六千円減らされた。親子三人の生活ができない」と訴えました。
これにたいして厚労省側が「(児童扶養)手当に限らず、他の施策で努力している」と答えたため、参加者から「他の制度で救われて、喜んでいる母子家庭はいない。子どもにお金がかかる時期になぜ減額するのか」と怒りの声があがりました。