2003年8月13日(水)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 牛肉の関税引き上げは消費者の利益に反するとの意見がありますが、日本共産党はどう考えますか。(大阪・一読者)
〈答え〉 今月一日から実施された牛肉の関税引き上げは、九三年末のガット交渉で関係国と合意している措置です。当時政府は、国会での言明にも反し50%の関税率を米国などの圧力に屈して38・5%に下げることを受け入れました。その際、輸入量が前年比117%を超えれば50%に戻すことも合意、今回の措置はそれに基づきます。
ところがマスコミなどは“牛肉輸入増は前年のBSE(牛海綿状脳症)発生で輸入も減少した特殊事情によるものだ、それを考慮しない今回の措置は牛肉価格を引き上げ、消費者の利益を損なうものだ”と批判しています。しかし、BSE発生でより直接的な打撃を被ったのは国内畜産です。日本の牛肉生産は九〇年代の輸入自由化と関税引き下げで大打撃を受け、二〇〇〇年の生産量(枝肉)は六年前のピーク時から15%減、自給率は36%に低下しています。BSEはそれに追い打ちをかけ、発生前は一キロ七百円を超えていた乳用種オスの枝肉価格が一時百円台まで暴落。今年五月でも四百円台と低迷しています。特殊事情をいうのなら、国内生産の窮状にこそ目をむけ、立て直しに力を入れるべきです。合意されたルールまで否定して、生産者と消費者を機械的に対立させる議論は無責任といえます。
日本共産党は、食料の六割も外国頼みという日本の現状は国民の生存を根本から脅かし、農業の再建は国政の焦眉の課題だと主張しています。国内畜産の発展の障害となる輸入の急増を規制することは、大局的には国民多数の利益にかなう方向だと考えています。政府の調査でも国民の八割以上が「食料は高くても国内産で」と答えているのは、それを裏付けるものです。さらに、今回の措置にとどまらず、国内農業を守る貿易ルールの確立に向け、生産者・消費者が力をあわせることが大事になっていると考えます。
(橋)
〔2003・8・13(水)〕