2003年8月16日(土)「しんぶん赤旗」
【カイロ14日小泉大介】イラクを占領する米軍が十三日、首都バグダッドのイスラム教シーア派住民居住区サドル・シティー(旧名サダム・シティー)で通信塔に掲げられたイスラム教の旗を除去しようとしたことに怒ったデモ隊を鎮圧した際にイラク人五人を死傷させた事件で、同地の住民グループは十四日、米軍の即時撤退を求める声明を発表しました。
米軍は十四日、同地域住民に「遺憾の意」を表明しましたが、住民は納得しておらず、今後の米軍の出方次第では、イラク人口の六割以上を占めるシーア派住民との矛盾がさらに激しくなる可能性もあります。
米軍のサンチェス司令官は前日の事態を受け、十四日の会見で「米軍には、ヘリコプターで旗を除去する方針はない」「われわれはイラク人を害するつもりはなく、イラク人の文化と感情を考慮しなければならない」とのべました。米軍は「われわれは遺憾の意を表明する。昨日起きたことはまちがいであり、サドル・シティーの人々に敵対するものではない」とする手紙を配布しました。
現地からの報道によると、サドル・シティーの住民グループ代表、アルカザリ氏の名前で出された米軍撤退を求める声明は、二十四時間以内に撤退するよう求めるとともに、「もし撤退しなければ、米軍兵士がいかなる住民の反応に直面するか、われわれは責任を持たない」と警告しています。一方で声明は、住民にたいし、平和的な手段で米軍を撤退させるよう訴えています。