日本共産党

2003年8月16日(土)「しんぶん赤旗」

請負的労働者にも労働債権の保護が?


 〈問い〉 建設などの請負的労働者にも、労働債権の保護が及ぶようになるって、本当ですか。(福井・一読者)

 〈答え〉 七月に成立した民法などの改定で、労働債権の保護対象が拡大されました。日本共産党はこれらの点については賛意を表明しましたが、家主が破産しても居住者の三年以内の賃貸契約を保護した制度を廃止するなど、重大な後退があったため、改定案に反対しました。

 勤め先などが倒産したとき、それが株式会社であれば、従業員の未払い賃金は商法二九五条の「先取特権」規定により、税金などを除き他の一般債権よりも優先的に回収できます。有限会社なども同様です。しかし公益法人などの従業員は商法でなく民法の三〇八条が適用され、「最後の六カ月間の給料」しか先取特権が及びませんでした。また、建設職人などは、実態は労働者でありながら、雇用契約ではなく請負契約の形式をとっているために、民法上の先取特権も及ばないとされる例が絶えませんでした。

 こんどの法改定で、民法三〇八条からは「六カ月間の給料」という制限がなくなり、会社の形態にかかわらず、従業員の未払い賃金は株式会社と同じ扱いになります。

 これまで「雇人給料」と規定していた先取特権の対象も「給料その他債務者と使用人との間の雇用関係に基づき生じたる債権」へと拡大されます。これによって、屋号を使っていたり法人名による請負契約でも、実質的な雇用関係があれば未払い分は先取特権の保護対象となります。改定は一年以内に施行されることになっています。

 建設労働者などにも労働債権が保護される機会が広がりますが、先取特権の活用は知られているとはいえず、債権を守る行動をすばやく起こすうえでも周知が必要です。また、請負的就労者の労働者性を証明する要件を利用しやすいものにすることも、運用上の課題です。

 (

 〔2003・8・16(土)〕


もどる
「戻る」ボタンが機能しない場合は、ブラウザの機能をご使用ください。

日本共産党ホームへ「しんぶん赤旗」へ


著作権 : 日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 Mail:info@jcp.or.jp