日本共産党

2003年8月19日(火)「しんぶん赤旗」

イラク 混乱の度深める

米占領軍と住民の矛盾深刻

生活インフラにも重大影響


 【カイロ17日小泉大介】米占領軍と住民との矛盾が深刻化するイラクの現状が混乱の度を深めています。十六日から十七日にかけ、首都バグダッドではロイター通信社カメラマンが米軍によって殺害された事件のほか、南部バスラでデンマーク軍兵士が銃撃戦で死亡しました。一方、石油パイプラインの炎上や水道管破壊など、生活インフラにも重大な影響をおよぼす事態が連続して発生しています。

 イラク第二の都市、南部バスラで十六日夜、デンマーク軍が巡回中、略奪をおこなったイラク人の武装グループを逮捕しようとして銃撃戦となり、同軍兵士一人とイラク人二人が死亡しました。デンマーク軍はイラク南部に約四百人が駐留していますが、イラクで米・英軍兵士以外の外国兵が死亡したのは、イラク占領が始まって以来初めてです。

 またイラク駐留米軍によると同日夜、バグダッド郊外のアブグレイブ刑務所になにものかが迫撃砲三発を撃ち込み、イラク人受刑者六人が死亡、五十九人が負傷しました。同刑務所には当時、イラク戦後に逮捕された刑事犯や米兵襲撃に加わった約五百人が収容されていました。

 イラク北部のキルクーク油田からトルコ南部の積み出し港に原油を運ぶパイプラインで十六日夜、火災が発生しました。現場は十五日に同じく石油パイプラインの爆発があったバイジ付近で、パイプラインを狙った連続爆破事件の可能性も出ています。バイジで十五日発生した火災では、イラクのガドバン石油相代行が爆発物が使用されたと発表していました。

 イラク戦争開始後のパイプラインを使った原油輸送は十三日に再開したばかり。世界第二位の石油埋蔵量をほこるイラクのなかで、キルクークは全体の約四割を生産しています。

 イラクの経済復興にとって原油輸出は頼みの綱となっており、影響が懸念されています。

 さらにバグダッド北部では十七日朝、水道管が破壊され、路上に水があふれ出しました。爆発音を聞いたという住民証言が出ており、生活インフラを狙った破壊行為の可能性が強まっています。これにより現場一帯への水の供給が止まり市民生活への影響が深刻となっています。

 カタールの衛星テレビ・アルジャジーラは十七日、「イラク・イスラム暗黒抵抗運動」を名乗るイラクの新たな武装集団から送られてきたビデオ声明を放映、そこでは顔を隠し銃を持った五人の男が映っており、一人が「われわれの抵抗は占領者を追い出すためのものだ」と闘争宣言を発しました。


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