2003年8月20日(水)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 見直し要求が高まっている、日米地位協定による犯罪米兵の特権とはどういうものですか。(東京・一読者)
〈答え〉 日米安保条約にもとづき両政府が結んだ日米地位協定は、米軍に多くの特権を与えています。とくに地位協定の一七条五項Cは、犯罪米兵の身柄が米側にある場合、日本側が起訴するまで米側が拘禁するとし、多くの米兵が法の裁きを逃れる温床となっています。
長年、改定を求める運動が続けられていましたが、一九九五年に沖縄県で起きた米兵三人の少女暴行事件では、日本側は起訴までの二十六日間、容疑者の逮捕も拘禁もできず、あらためて一七条五項Cの不当性が国民の前に浮き彫りになりました。
このとき日米両政府は、地位協定には手をつけず、▽殺人・暴行事件では、米国は起訴前の容疑者の身柄引き渡しに「好意的配慮」を払う▽「その他の特定の場合」、米国は日本の身柄引き渡し要求を「十分に考慮」する−との「運用改善」の合意で幕引きをはかりました。
合意では身柄引き渡しはあくまでも米側の判断に委ねられ、今年六月までに起訴前の引き渡しがあったのは三件だけです。放火事件などでは、米側は、起訴前引き渡しを一切拒否しています。合意後も米兵の凶悪犯罪は続発し、今年も沖縄県議会や衆・参両院の沖縄・北方特別委などで、地位協定見直しを求める決議があいつぎました。
しかし自民・公明党政権は、「運用改善」で十分だとして、地位協定の見直しをいっさい提起しません。米側は今年七月の日米協議で、容疑者取り調べに米政府関係者の同席を認めよとの新たな条件を持ち出し、認めなければ「運用改善」中止も示唆しました。政府は米側の意向にそい、同席を認める「提案」をしています。国民には、捜査段階の弁護士立ち会いを認めておらず、ここにも異常な対米追随姿勢が現れています。不当な特権を認める地位協定は抜本改定し、少なくとも一七条五項Cは廃棄すべきです。
(水)
〔2003・8・20(水)〕