2003年8月21日(木)「しんぶん赤旗」
【カイロ20日小泉大介】バグダッドの国連現地本部で十九日発生した爆弾テロによる死亡者のなかに、六月にイラクを訪問した日本共産党調査団に活動状況を説明し親しく懇談した国連児童基金(ユニセフ)バグダッド事務所のクリス・クラインビークマン次席・上級プログラム調整官(32)=カナダ人=が含まれていることが判明しました。
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国連本部が発表した犠牲者リストの中に、クリス・クラインビークマンという名を見いだしたとき、衝撃が走りました。彼は、赤嶺政賢衆院議員、森原公敏国際局次長と私の日本共産党調査団が六月にイラクを訪問したときに、国連児童基金(ユニセフ)を代表して、多忙な中で一時間余にわたり会ってくれた同イラク事務所次席(計画調整官)だったからです。
六月十六日午後三時に、バグダッド市内のユニセフ事務所で懇談が始まりました。会議室にあらわれた彼は、長身、三十歳代、白のワイシャツ姿で、静かな表情にイラクの子どもを救うために何でもするというファイトを秘めていました。
クラインビークマン氏は、ユニセフが一九八三年以来イラクですすめている活動の概略を紹介したのちに、本題に入りました。教育分野では児童保護の活動があり、衛生分野では、ユニセフは基礎的医療の活動を担当していること、現在の重点は予防接種、栄養失調対策、孤児対策などの取り組みであると早口でのべました。
教育問題では、教育関係用品、教材が決定的に不足していることへの対策、五百万人の子どもたちを対象に学校復帰キャンペーンをすすめていることを、飛び込む電話に対応しながら、熱をこめて語りました。
さらに、米政府海外支援局(USAID)がイラクの教科書改訂を国外で行うと主張したことについて、「子どもたちに何を教えるかは、その国の奪うことのできない固有の権利だ。イラク国民以外がイラクの子どもたちの教科書を決めるべきでない」と平静に、しかし、怒りを抑えきれない表情で訴えました。
あらゆるエネルギーをイラクの子どもを救うためにささげてきたクラインビークマン氏の犠牲。話の端ばしに、公正、正義感あふれる国際公務員の誇りがあふれており、わたしたち調査団はそのひたむきさと情熱に大きな感銘を受けました。
それだけに、国連を標的にした爆弾テロは、憎んでも憎み足りません。イラクの再建・人道支援という尊い事業のためにデメロ国連事務総長特別代表をはじめ国連職員の尊い人命が奪われたことに憤りを抑えることができません。この尊い犠牲を無駄にしない道は、テロに立ち向かい、国連中心のイラク復興をさらに強めていくことであると思います。