2003年8月21日(木)「しんぶん赤旗」
【ワシントン19日遠藤誠二】バグダッドの国連本部へのテロ攻撃についてブッシュ米大統領は十九日、休暇先のテキサス州クロフォードの牧場で、「文明世界の敵」などとテロを非難する声明を読みあげ、テロリストとの戦争に「打ち勝つ」ことを表明しました。一方で、米英軍主体の占領軍やイラク国内の各施設に続き、国連本部まで攻撃の対象とされたことについて、米国内では混乱の拡大を懸念する声が相次いでいます。
CNNテレビは、連邦議員の声を紹介しています。ハッチソン上院議員(共和党)は「われわれは、間違いなく戦闘状況にいる」と言明。バイデン上院議員(民主党)は、「イラク国民の生活向上のための支援を加速させ、米軍部隊を撤退させる」べきだと主張しました。
グラハム上院議員(民主党)は「戦闘作戦は終結していない。(五月一日におこなった)ブッシュ大統領の戦闘終了宣言は、実体がなかっただけでなく米国のイラク政策の信用に打撃を与えた」と政権を批判しています。
ブッシュ大統領は声明で、デメロ国連代表ら犠牲になった国連職員・関係者にたいし米国民を代表して追悼の意を表明。テロ攻撃にたいして、「彼らはイラク国民の敵、イラク国民を支援するすべての国の敵、文明世界の敵」であると指摘しました。
そのうえで、「すべての国家は挑戦をうけ、選択を迫られている。恐怖と混乱をまき散らすことで、テロリストはわれわれの意思を試している」「われわれは、殺人者が法に引き出されるまで、テロ戦争を継続し、すべての困難に打ち勝つ」とのべ、米英占領下で混乱するイラクも、テロ戦争の一環として位置付けることを主張しました。
声明発表に先立ち、ブッシュ大統領は、アナン事務総長と電話で会談し、米国として必要な支援はすべておこなうことを申し出ました。