2003年8月21日(木)「しんぶん赤旗」
バグダッドで十九日発生した爆弾テロの標的になったのはイラクでの国連諸機関を統合した国連現地本部です。ここには人道援助活動を行ってきた次のような機関が含まれています。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、世界保健機関(WHO)、国連児童基金(ユニセフ)、国連環境計画(UNEP)、国連開発計画(UNDP)、世界食糧計画(WFP)、国連教育科学文化機関(ユネスコ)、国連人口基金(UNFPA)、西アジア経済社会委員会(ESCWA)、国連人権高等弁務官事務所(UNHCHR)、人権問題(イラク問題緊急報告)調整事務所。
今回の事件で死亡したデメロ国連事務総長特別代表は、六月の記者会見で、これら国連諸機関の役割について「国連は政治的役割を担っている。国連には、イラク復興の役割がある。国連は、イラクにおいて人道的仕事を十分に行ってきた」と語り、イラク人が支援を受ける権利があると強調。「われわれは米英軍がイラクを去った後も長期間イラクに滞在するだろう」と述べました。
同時に、「イラクを統治する能力と権利を有するのはイラク国民だけだ」として、米英両国に対し主権のイラク人への速やかな返還を主張し、米英による占領についても批判的立場を明確にしていました。
今月十四日に国連安保理は、イラクで復興支援を行ってきた国連諸機関を統合することを目的とし国連イラク支援派遣団(UNAMI)の創設を決定(決議一五〇〇)しました。設置期間は一年、デメロ氏が最高責任者となりました。
一方、同決議は、UNAMIを事実上、米英軍の指揮のもとにある暫定行政当局(CPA)の補助機関と位置付けました。