2003年8月21日(木)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 厚生労働省は今年、サービス残業解消にむけた「指針」を出したそうですが、どういうものですか。(山口・一読者)
〈答え〉 サービス残業の一掃を求める日本共産党と労働者の運動を背景に、厚生労働省は、二〇〇一年四月に出した使用者に労働時間の適正把握を求める通達に加え、今年五月、あらたに「賃金不払残業の解消を図るために構ずべき措置等に関する指針」を発表しました。
厚労省によれば、〇一年の通達後も「自己申告制の不適正な運用など使用者が適正に労働時間を管理していないこと」によるサービス残業が横行しています。この事態を受け、厚労省は省の対応強化とあわせ「実態を最もよく知る立場にある労使に対して主体的な取組を促す」ことでサービス残業をはかるという、「賃金不払残業総合対策要綱」をまとめました。「指針」の周知徹底はその重要な柱で、「指針」は“サービス残業をやらせない企業づくり”に会社が本気でとりくむよう、具体例を示して行動を促しています。
「指針」は、サービス残業を当然視する「職場風土」の改革や、労働時間を適正に管理する「システムの整備」「責任体制の明確化」「チェック体制の整備」などにふみこんだ提起をしています。これらの責務が使用者にあることを指摘し、労働組合にも「チェック機能を発揮」するよう求めています。
始業・終業時間の確認や記録は「使用者自らの現認又はタイムカード、ICカード等の客観的な記録によることが原則」とし、「自己申告制によるのはやむを得ない場合に限られる」と強調しているのは重要です。サービス残業があった事業所では「同じ指揮命令系統にない複数の者を労働時間の管理の責任者とする」ダブルチェックなどの体制確立を求めています。「上司や人事労務管理者以外の者」による相談窓口や、企業トップが直接情報を把握できるような投書箱・専用メールアドレスを設けるなどの提起もあります。
(清)
〔2003・8・21(木)〕