2003年8月22日(金)「しんぶん赤旗」
【ワシントン20日遠藤誠二】国連のアナン事務総長は二十日ニューヨークの国連本部で、イラクの首都バグダッドでの十九日の爆弾テロ事件に先立ち米英占領軍が警備強化を申し出たが国連が拒否したと伝えられることに関し、「対策を決めるのは治安と法秩序の責任と情報を持つ側だ」と語り、米英占領軍を批判しました。
アナン氏は、事実関係は知らないとしつつ、「われわれがそうした申し出を断ることがあるだろうかと驚いた」と表明。
「この都市では警備の巡回が必要かとはだれも尋ねない。巡回や保護は警察側が必要だと判断して行う。それがイラクでも行われるべきだ」と強調しました。
一方でアナン事務総長は、「現段階では国連のブルーヘルメットは念頭にない」と発言し、平和維持軍派遣の可能性を否定しました。
国連は過去十一年間で二百十人の文民の犠牲者を出していますが、十九日のテロ攻撃では、デメロ事務総長特別代表を含む二十四人が死亡し、百人以上が負傷。国連史上最悪の惨劇の一つとなり、アナン氏は「国連生活で最も暗い一日」と表現しました。
国連本部では二十日、前日に続き職員らが喪に服し、祈りの集いが行われました。
バグダッドの国連事務所への爆弾テロ事件で日本人男性職員一人が負傷していたことが二十一日午後、分かりました。意識ははっきりしており、生命に別条はないといいます。
在イラク日本大使館員が収容先のバグダッド郊外の病院で面会し、負傷者が日本人と確認。顔や右腕に数カ所の裂傷を負い、縫合治療を受け、会話することには問題はなかったといいます。