2003年8月22日(金)「しんぶん赤旗」
財務省は二十一日、二○○四年の次期年金制度改革で、国民年金、厚生年金などすべての年金支給開始年齢を、二〇二五年度以降は当初計画から二歳引き上げて六十七歳にする方針を固めました。サラリーマンらが加入する厚生年金などの支給開始年齢を、二五年度にかけて六十五歳へと段階的に遅らせるスケジュールも前倒しする計画。年金改革を担当している厚生労働省と近く調整を始めるとしています。
今回の財務省方針は、急速な少子高齢化に伴う年金財政の悪化を理由に、国民に新たな給付減を押しつける考えです。
従来は六十歳から受け取れた厚生年金などの支給開始は、基礎年金に相当する「定額部分」が二○一三年度、現役時代の給与を反映した「報酬比例部分」は二五年度から六十五歳とすることが、過去二回の制度改悪で決まっています(女性は五年遅れの実施)。
国立社会保障・人口問題研究所が昨年一月に公表した平均寿命は、五○年時点で男性八十・九五年(前回七十九・四三年)、女性八十九・二二年(同八十六・四七年)と、前回の年金改革の前提とした五年前のデータより平均で約二年延びました。
財務省は、このまま六十五歳支給開始を続けると、二年分の給付が年金財政の負担となるとし、六十七歳支給開始にすることで、国の財政責任を逃れようという狙いです。
サラリーマンの年金支給開始スケジュール(厚生年金)の前倒しでは、既に定額部分は○一年度から段階的な引き上げが始まっています。このため、報酬比例部分のみを、一三年度から二五年度にかけて三年ごとに支給開始年齢を一歳ずつ引き上げる計画を、二年ごとに一歳アップする計画に変更する検討案が有力となっています。