日本共産党

2003年8月23日(土)「しんぶん赤旗」

都市水害の対策法とは?


 〈問い〉 最近、都市水害の対策法ができたそうですが、どんなことをするのですか。(神奈川・一読者)

 〈答え〉 近年頻発している都市型水害への対応策をもりこんだ「特定都市河川浸水被害対策法」が今年六月、全会一致で成立しました。一年以内に施行されます。

 治水対策を放置したままの長年の開発優先政策で、都市部は雨水の貯留・浸透機能を喪失し局地的豪雨による浸水被害が頻発しています。二〇〇〇年九月の東海豪雨は、記録的降雨と水害に弱い都市構造の相乗作用により、愛知県の名古屋市で約三万棟が浸水、東海四県で死者十人、浸水約七万棟となる大災害が発生し、都市型水害対策の緊急性を浮き彫りにしました。対策法はこうした事態を受け、従来型の堤防かさ上げなどでは対応できない、都市部の水害対策に踏み出したものです。

 国土交通大臣・都道府県知事は、著しい浸水被害のおそれがある都市部の河川を「特定都市河川」、その流域を「特定都市河川流域」と指定します。流域の河川管理者・下水道管理者・都道府県知事・市町村長は共同して「流域水害対策計画」を策定します。計画には、流域における浸水被害対策の「基本方針」を定めるほか、▽防災目標となる降雨量などの想定▽雨水を一時的に貯留したり地下に浸透させる施設の設置・管理▽下水の放流による下流域はんらんを防ぐ排水ポンプの運転調整▽各戸の排水設備の貯留・浸透化−などが盛られます。一定規模以上の開発などによる雨水浸透阻害行為を許可制とするほか、調整池を保全するための指定などの措置もとられます。

 これらは一歩前進といえますが、被災補償の規定はなく、計画などへの住民参加保障も不明確です。財政力のない自治体への過重負担の不安もあります。小泉内閣が進める「都市再生」などの名による乱開発も、総合的都市型水害対策の障害となりかねません。

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 〔2003・8・23(土)〕


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