日本共産党

2003年8月28日(木)「しんぶん赤旗」

国内新品種の権利保護が強化されるとは?


 〈問い〉 国内新品種の無断持ち出し・逆輸入への規制が強化されるそうですが、どういうものですか。(東京・一読者)

 〈答え〉 国内で開発された新品種の種苗などが無断で海外に持ち出され、栽培された農産物の逆輸入が急増、日本の農業者に打撃を与えています。日本企業による持ち出し・逆輸入がかなりの割合を占めます。

 これまでも、国内で開発された新品種の農林水産植物には、「種苗法」による保護制度がありました。品種登録して「育成者権」を取得すれば二十年間、その品種の利用権を専有できるものです。育成者権者から「専用利用権」を設定された業者も設定の範囲で生産などを独占的に行えます。育成者権も専用利用権もない者が、無断で登録品種の「種苗」を生産したりすれば、罰金や懲役の対象となります。

 ところが、「種苗」段階から栽培などで「収穫物」に達してしまった登録品種については、これまで罰則規定がなく、商社などが脱法的に「収穫物」を逆輸入してきました。

 この制度不備を正す、種苗法の改正が全会一致で成立し、七月から施行されました。罰則を「収穫物」段階にも広げ、旧法で三百万円だった法人の罰金上限を、一億円にまで引き上げます。これらの改正は当然です。

 同時に、改正を実効あるものにするには、加工品などの形で入ってくる逆輸入品種への対策が不可欠です。政府は冷凍野菜など加工度の低いものを規制対象とし、加工品が登録品種かどうかを判別できるDNA鑑定技術が成立したものも規制するとしていますが、鑑定技術の開発支援とともに、流通経路の追跡を可能にする履歴表示の導入なども求められます。

 また法による権利保護は二十年しかなく、登録から二十年以上たったコメのコシヒカリなどの逆輸入は、規制できていません。EU(欧州連合)などにならって保護期間の延長も検討すべきで、保護期間が切れた品種の国外持ち出しを規制するルール作りも必要です。

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 〔2003・8・28(木)〕


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