2003年8月29日(金)「しんぶん赤旗」
【ワシントン27日遠藤誠二】米紙ニューヨーク・タイムズ電子版は二十七日、イラクの治安維持強化に関連して、米国人が司令官になるとの条件付きで、国連が統括する多国籍軍の設置を認める可能性があるとのアーミテージ米国務副長官の発言を伝えました。
同紙によると、一部報道機関とのインタビューにこたえた同副長官は、「国連指揮下の多国籍部隊」で「米国人が国連(軍)の司令官になる」ことが「一つのアイデア」として国連で検討されていると述べました。米政権指導部が、混乱するイラク情勢をめぐり国連のもとでの多国籍軍創設の可能性に言及したのは初めてです。
この発言について同紙は、難航するイラクでの米軍の占領作戦に対し、各国が部隊派遣や資金提供に乗り気でないことへの米政権の「懸念の深まりを反映」していると指摘しています。
イラクへの各国の部隊派遣を促したい米国は、イラク復興をめぐる国連安全保障理事会の新決議の採択を模索。パウエル国務長官は、新決議では「新しい文言で」各国部隊の派遣を促進させたいと述べ、何らかの譲歩を示す考えを示しつつ、米国の権限は譲る考えがないと表明していました。
ワシントン入りしているイラク暫定行政当局(CPA)のブレマー文民行政官は二十七日付ワシントン・ポスト紙のインタビューで、イラク復興費用は、同国の石油売却益だけでは賄えないとし、今後一年間に他国から「数百億ドル」の支援が必要になると言明しています。各国からは、資金拠出を求めるならイラク統治の権限を国連に移せとの声が出ています。