2003年8月30日(土)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 お酒屋さんの「緊急調整地域」指定のことが話題になりましたが、どういうものですか。(東京・一読者)
〈答え〉 「緊急調整地域」とは、今年四月に成立した「酒類小売業者の経営の改善等に関する緊急措置法」により、一年間は酒販免許の新規付与などを行わない地域として、税務署長が指定するものです。国は酒販店の経営改善などに「必要な措置」を講じます。酒類の供給能力過剰や販売場の販売数量減が著しく、販売場の過半数から経営改善計画が提出されている地域が対象で、八月二十七日に全国の三割近い九百二十二地域(原則市区町村単位)が指定されました。日本共産党はこの間、積極的な地域指定を求め、国税庁への申し入れなどを行ってきました。
緊急措置法は二〇〇五年までの時限立法ですが、大型店やチェーン店の酒販急増などによる中小酒販店の打撃軽減につながります。日本共産党は、同法が目的に「規制緩和の円滑な推進」を掲げている問題を指摘しつつ、同法に賛成しました。
致酔性飲料である酒類は、健康や社会への影響などから販売には一定の規制が必要です。日本では、▽犯罪歴がないなどの「人的要件」▽酒販店間の距離を一定以上に保つ「距離基準」▽地域人口あたりの酒販店数の上限を定める「人口基準」−を要件とする免許制で、酒販店乱立などを抑えてきました。しかしアメリカや大手流通業者など財界の圧力で必要な規制も緩められ、二〇〇一年には距離基準も廃止されました。今年九月には人口基準も廃止されます。
その結果、国税庁調査でも、九〇年度に販売数量の八割以上を占めていた一般酒店が二〇〇〇年度には五割台に激減しました。日本共産党は早くから、この規制緩和は地域の荒廃を招くと反対してきましたが、こんどの緊急措置法は、みずから招いた深刻な事態に与党なども対応を迫られたものです。一般の酒販店の実情に即した運用とともに、規制緩和万能路線の見直しが求められます。
(博)
〔2003・8・30(土)〕