日本共産党

2003年8月31日(日)「しんぶん赤旗」

米英軍占領下で治安悪化の一途

イラク シーア派聖地爆弾テロ事件


 イラク中部のイスラム教シーア派聖地ナジャフでの二十九日の爆弾テロ事件は、ブッシュ米大統領が五月一日にイラクでの「主要な戦闘は終了」と宣言して以後、最大規模の犠牲者が出たテロ事件となりました。

国連のもとに

 多数の一般市民を犠牲にする憎むべきテロ事件の続発は、米英軍の無法な占領下でイラク全土が混乱し、状況が悪化の一途をたどっていることを浮き彫りにしており、力によるイラク制圧を目指す米英軍の占領支配の破たんを示しています。イラク国民の主権回復と復興のための国際的な枠組みを国連のもとで早期に確立する重要性が問われています。

 事件で殺害されたムハマド・バクル・ハキム師(64)は、フセイン政権の弾圧を逃れ、亡命先のイランのテヘランでイラク・イスラム革命最高評議会(SCIRI)を結成。フセイン政権崩壊後、イラクに帰り、米国主導の政権づくりに反対しながらも、米軍が組織した統治評議会には弟のアブドル・アジズ・ハキム師を参加させるなど米国との協調もすすめてきました。

 これにたいし、シーア派内ではバグダッド北部のサドル・シティで強い影響力を持つムクダル・サドル師(30)が、統治評議会を「違法」と主張し米国との協調を拒否しています。

内部の対立

 サドル師の支持勢力のなかには過激な分子もいて、四月九日のフセイン政権崩壊の翌日、ナジャフで米国に近かったイスラム教指導者のホエイ師が英国から帰国した直後にサドル派とみられる武装勢力によって殺されています。今回の事件の背景には、シーア派内部の対立があるともいわれます。

 しかし、SCIRIロンドン事務所幹部は二十九日、ロイター通信にたいし今回の事件がシーア派内部の犯行との見方を否定し、旧フセイン残存勢力か、それ以外の過激派の犯行の可能性があると語っています。

 イラクでは、国民のなかにある米英軍の占領統治への不満と反発に乗じるようにして米英軍以外を標的とした爆弾テロ事件があいついでいます。

 八月七日にはバグダッドのヨルダン大使館前で十一人が死亡、同十九日には国連現地本部のあるホテルでデメロ特別代表を含む二十人以上が死亡しています。

 (宮崎清明記者)


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