2003年9月5日(金)「しんぶん赤旗」
医学部を卒業し、医師免許をとったあとに、新人医師が医療現場で研修を受ける臨床研修が来年四月から必修化されることに伴い、厚生労働省は研修医の処遇改善などのため、来年度予算の概算要求に二百十二億円の補助金を盛り込みました。今年度予算(四十三億円)の約五倍です。医学生を中心とした長年の運動と、国会で深刻な実態の改善をねばり強く求めてきた日本共産党の質問が実ったものです。
同省は、要求が認められれば、研修医への報酬を一人あたり月額三十万円程度に引き上げることができるとしています。
補助金は、研修医を受け入れる病院に対し、研修医の給与や指導医手当、研修費用として支給されます。こうした病院への支援も含め、研修医一人あたりの補助金は年間二百万円となります。
臨床研修は、医師免許を取得した新人医師が二年間の研修を受け、実際に患者に接して経験を積むものですが、現在は必修ではありません。二〇〇〇年の法改定で〇四年四月から義務化されることになりました。
研修医の収入は現在、国公立大学病院で月約二十万円。私立大病院では七割以上が月収十万円以下という低賃金です。生活のために民間病院で当直の夜間アルバイトをする研修医も多く、医療事故の原因になったり、研修医自身の過労死の問題が指摘されてきました。
今年の通常国会では、国の十分な予算措置を求める全日本医学生自治会連合の請願が衆院で採択されました。二〇〇〇年十一月の参院国民福祉委員会では、日本共産党の小池晃参院議員の質問に対し、津島雄二厚相(当時)が「必修化する以上は、みんな腹据えてやっていただけるようにする」とのべ、予算の増額を約束していました。
日本共産党の小池晃参院議員の話 三十五年前にインターン制度が廃止されて以来の、医学生や医療関係者の長年の運動が実った大きな前進です。
私自身、医学生だったころから取り組んできました。安心して医療を受けたいと願う国民にとっても朗報です。
補助金の増額を年末の予算編成でも実現させるため、引き続き取り組みを強めていきたいと思います。