2003年9月9日(火)「しんぶん赤旗」
【ワシントン7日遠藤誠二】ブッシュ米大統領は七日夜(日本時間八日朝)、国民向けのテレビ演説を行い、対テロ戦争は今も続いており、その「中心的戦線はイラクだ」「もっと時間と犠牲が必要」とイラク侵略戦争を継続する構えを強調しました。また同大統領は、「イラクの復興と治安維持には国際的協力が必要」「国連加盟諸国はイラクが自由で民主的な国家となるためにより大きな役割を果たす責任がある」と述べ、「日本や欧州、中東諸国」に米国の主導するイラク戦争への協力を求めました。
演説は、同時多発テロから二年目にあたる九月十一日を前に、イラク復興予算を連邦議会に要請するのに当たり、議会側から対イラク政策の説明を求められたため行われました。
同大統領は、対テロ戦争がひきつづき最重要課題であることを強調。その上でイラクとアフガニスタン関連予算として、さらに八百七十億ドル(約十兆二千億円)の追加支出を二〇〇四会計年度(〇三年十月―〇四年九月)に盛り込むよう議会に要請。うち六百七十億ドルは、軍事、情報活動に充てることを明らかにしました。
ブッシュ大統領はまた、イラク復興における国連の役割拡大について、安保理での「新決議採択を働きかけるようパウエル国務長官に指示した」と述べましたが、「多国籍軍は米国の主導による」と、イラクでの米国の主導権を手放さないことを言明。「すべての友好国がわれわれの決定に賛成してはいないが、過去の食い違いで現在の責務の履行を妨害させるわけにはいかない」と、米英の新決議案に反対する仏独などをけん制しました。
同大統領はイラク戦争のために「時間と犠牲」が必要だと述べたものの、今後の対策には言及しませんでした。また国内外で厳しく追及されているイラク大量破壊兵器情報操作での疑惑や戦争の根拠などについては何も述べておらず、演説は内外の疑問に答えるものとはなりませんでした。