2003年9月10日(水)「しんぶん赤旗」
【ニューヨーク8日遠藤誠二】国連のアナン事務総長は八日、ニューヨークの国連本部で記者会見し、イラク復興問題について加盟国の意見の対立を解消し、速やかなイラクの主権回復のための国連の役割拡大について協議する国連安保理の常任理事国外相会合を十三日にスイスのジュネーブで開催することを明らかにしました。
同事務総長が安保理理事国の国連大使や中東の関係諸国代表と相次いで会談した後言明したもの。アナン氏は、「イラク人が自らを統治する日は迅速に来なければならない」「協議はまだ初期の段階にあるが、われわれ皆がイラク安定のために共同する道を見つけだすことが重要になっている」と述べました。
ブッシュ米政権は相次ぐ米兵への攻撃や多大な占領費用、国内外での批判の高まりなどに直面、国連安保理にイラク復興をめぐる一部の権限を国連に移す新決議採択を模索していますが、同時に多国籍軍については米軍の指揮権下に置くことに固執しています。
ネグロポンテ米国連大使は同日、外相会合へのパウエル国務長官の出席を確認し、米国は他の理事国、とりわけ拒否権を持つ常任理事国の態度変更に期待を持っていると表明しました。
中国の王光亜国連大使は、国連は「経済、政治分野での復興において中心的な役割」を担うべきだと主張、ロシアのラブロフ国連大使も、「多国籍軍は、単一の指揮権の下で(国際社会の)信任を受けたものになる」べきだと語りました。また非常任理事国アルゼンチンのムノス国連大使は「国連の政治的役割の拡大とともに、イラク人が完全な主権回復を展望できるようなタイムテーブルに集中しなければならない」と語りました。