2003年9月15日(月)「しんぶん赤旗」
【パリ13日浅田信幸】治安が悪化する一方のイラク問題打開をめざしジュネーブの国連欧州本部で十三日開かれた安保理常任理事国五カ国(米英仏中ロ)外相会議は、「可能な限り速やかなイラクの主権回復」を確認したものの、米仏それぞれが主張する優先的課題で対立点は解消されないまま終了しました。
アナン事務総長は会議後の記者会見で、五カ国が「可能な限り速やかにイラク国民に主権を移したいとの希望を共有している」ことを成果にあげ、「同意は基本的で達成可能なものだ」と発言。パウエル米国務長官もドビルパン仏外相も一致点が広がったことを指摘し、対立再燃を回避する配慮を見せました。会議はアナン事務総長がイラク問題打開に向け安保理での合意を探るために主宰したもの。イラク情勢悪化に苦しむ米ブッシュ政権が、占領支配の実権を保持したまま、耐え切れなくなりつつある兵力と資金の両面で国際的な支援を得るため、新たな安保理決議を求めたことを受けたものです。
米国提案の決議案に対してフランスは「論理の転換」を主張し、非常任理事国のドイツとともに修正案を提示。占領軍の暫定行政当局(CPA)の全権を国連事務総長に移し、国連を名実ともにイラク復興の中心的役割にすえ、イラクの主権回復を優先させることを主張しています。
パウエル長官は記者会見で、「われわれの共通の目標はできるだけ早く権限をイラク国民に戻すことだ。問題はどの“着陸進路”と、どのようなプロセスをとるかだ」と発言。ドビルパン外相も「イラクにおいて、どうすればより効果的であるのか。これがジュネーブでの論議の意味だ」とのべ、この点が主要な対立点であり、意見の一致をみなかったことを認めました。