2003年9月17日(水)「しんぶん赤旗」
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外務省での会談には、チュニジア側からは、外相のほか、アリ・グタリ外務省アジア局長とハマム首相府顧問が同席、帰国したばかりのサラ・ハンナシ駐日大使も、始まって間もなく参加した。日本側は、もちろん代表団全員が参加。
ここは、議事録にそって、会談の模様を紹介しよう。
会談はまず、ベンヤヒア外相の次の言葉から始まった。
ベンヤヒア 不破議長の大会参加にあらためて感謝する。私たちにとってたいへん重要な大会だった。ベンアリ大統領がのべたように、チュニジアの党と国民が何をおこなおうとしているのか、それをよく見ていただけた、と思う。
ベンアリ大統領は日本と日本国民にたいして強い称賛の気持ちを持っている。私自身、日本で五年間奉職した。大統領も九六年に日本を訪問している。
ベンアリ大統領から、不破議長が遠路はるばるこの大会に参加していただいたことにたいして、心からの感謝をお伝えするよう委任されている。大会の最中もその後も大統領の時間がふさがっていて、こういう形〔政治会談が外相との会談になったこと〕になったが、今後も頻繁に訪問していただいて、わが国をよく知ってもらい、われわれのおこなっていることを知っていただくよう願っている。
今日は、ようこそ外務省においでいただきました。この建物は、近代チュニジア建築の粋を集めたもので、二年前に完成したものだ。
私は、それにこたえて、大会招待への謝意を述べた。
不破 大会へご招待ありがとうございました。私たちの交流は、これまでは東京での外交に限られていたが、今回の訪問でいよいよ本格的な関係が始まった。チュニジアの歴史と文化はたいへん豊かで、その研究には時間がかかるが、その一端を直接見る機会を得たことをたいへんうれしく思っている。大統領に、心からのお礼とあいさつをお伝えください。
ベンヤヒア 必ず伝えます。
不破 今回のあなた方の大会は「大志の大会」の名のように、たいへん意欲的なもので、チュニジアと世界にとって大事なものだと感じた。大会が大きな成功をもって終わったことをお祝いしたい、と思います。
ベンヤヒア ありがとうございます。
不破 大会終了後、シャウシュ書記長にも述べたことだが、大会が成功すればするほど、その決定を実行するという任務のこれからがたいへんだろう。
いろいろな国から多くの政党が参加した大会の様子を見て、国際政治におけるチュニジアの位置を強く実感した。
私は、東京を出発するさい、今回のチュニス訪問では、チュニジアの党との友好関係を発展させることと同時に、アジア、中東、アフリカ、ヨーロッパの新しい友人との出会いを期待していると述べてきたが、実際にたくさんの新しい友人ができた。とくにアフリカの国ぐにとの接触は、一部の国をのぞけば、これまでは東京での大使館との交流に限られていたから、この面での成果も、たいへんうれしいものだった。
このあと、私は、大統領演説の外交部分を、私たちの党綱領改定の問題に関連づけながら、国際情勢の見方とそこでの両党の一致点を取り上げた。
不破 私たちも、今年の十一月に党大会を予定している。日本は政治情勢の変転の早い国柄なので、大会はほぼ三年に一度開いている(チュニジアは五年に一度)。今回の党大会には、四十二年ぶりの党綱領の改定を提案しているが、そのなかに、あなた方との関係にもかかわる多くのことが含まれている。
一つは、これは以前からの方針だが、日本が、アメリカとの軍事同盟を抜け出して非同盟・中立の立場に立ち、非同盟首脳会議に参加する、ということ。これは、日本が将来、国際政治の場であなたの国と同じ流れに立って活動する展望をひらく方向づけだ。
もう一つは、異なる価値観をもつ文明間の対話と共存が、二十一世紀の国際政治でいよいよ重要になる、という認識だ。先日も、大統領官邸でのレセプションで話し合ったが、二十世紀の平和共存は、資本主義と社会主義の間のことだった。二十一世紀にはそれに加えて、異なる価値観と異なる文明をもつ諸国が共存しあうこと、自分の価値観の押しつけをやらないことが、求められる。そういう提起を、綱領改定案のなかでおこなっている。(つづく)