2003年9月18日(木)「しんぶん赤旗」
政府は十七日までに、戦時に自衛隊への協力を強制する「業務従事命令」の対象者などを定めた政令案(自衛隊法施行令改悪案)をまとめました。六月に有事法制関連三法が成立したのを受けたものです。
自衛隊法は第一〇三条で、「武力攻撃事態」で、首相が自衛隊の出動(防衛出動)を命じた場合、「医療、土木建築工事、輸送を業とする者」に業務従事命令を出すことができると定めています。具体的な範囲については、政令で定めるとされていました。
政令案では、業務従事命令の対象として、医師、歯科医師、看護師、建設業者、陸・海・空・港湾の各運送事業者をあげています(別項)。
また自衛隊法は、防衛出動時に自衛隊が必要とする病院、診療所などの施設を強制的に管理できることを定めています。政令案は、病院、診療所以外に、自動車整備工場、造船所、港湾施設、航空機や航空機用機器の整備施設、自動車・船舶・航空機への給油施設をあげています。
自衛隊法では、業務従事命令や土地・施設の収用・管理、物資保管命令について、自衛隊の要請にもとづき都道府県知事がおこなうとされています。
政令案は、要請できる自衛隊の機関として、陸上自衛隊の方面総監、師団長、海上自衛隊の自衛艦隊司令官、航空自衛隊の航空総隊司令官などをあげました。
また政令案は、業務従事命令を受けた人が、死傷した場合の損害補償について、災害救助法施行令の規定を準用するとしています。
今後、政令案は閣議にはかられる予定です。
業務従事命令の対象
医師、歯科医師、薬剤師、看護師、准看護師、臨床検査技師、診療放射線技師、建設業者、鉄道事業者、自動車運送業者、船舶運航事業者、港湾運送事業者、航空運送事業者