2003年9月18日(木)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 竹中プランによる、りそなへの二兆円の公的資金投入で、貸しはがし加速が懸念されるとは、どういうことですか。(東京・一読者)
〈答え〉 今年五月、政府は大手金融グループの、りそなに対し、約二兆円の公的資金を注入する「特別支援」を決定しました。昨年、米国の圧力などを背景に決定された、小泉内閣の「金融再生プログラム」(竹中プラン)の適用第一号となります。
現在、実質国有化されたりそな傘下銀行の資産の再査定が進行中ですが、今度の査定による債務者区分は、外部の監査法人によって行われるため、これまでよりも区分が引き下げられるおそれが中小企業を中心に広がっています。
その上、今年四月に金融庁が発表した、「特別支援金融機関における『管理会計上の勘定分離』について」という文書で、新経営陣の成果を把握し、旧経営陣の責任を明確化するとの名目で、貸出債権を、正常先などからなる「新勘定」と、その他の「再生勘定」に区分するとしています。
このうち「再生勘定」では、「不良債権の早期処理の観点から」適切な管理をおこなうとされています。「再生」という名が付いていても「早期処理」が要求されるため、大半は貸しはがしの対象となります。
「再生勘定」は、「要管理先以下に対する貸出債権」が中心です。いままでの不良債権処理は「破たん懸念先」以下が対象だったのに、こんどは「要管理先」(返済が三カ月以上遅れたり返済条件を変更してもらっている取引行が、一行でもある企業)も同じグループに入れられます。つまり、これまでよりきびしく査定された上、不良債権として処理される範囲を広げられることになります。
政府はりそなの「不良債権」を〇五年三月までに半減させる方針です。中小企業つぶしが猛烈な速度で進みます。こんなことに税金投入する、「竹中プラン」は撤回すべきです。
(博)
〔2003・9・18(木)〕