2003年9月24日(水)「しんぶん赤旗」
【ニューヨーク23日遠藤誠二】国連第五十八回総会の一般討論が二十三日午前十時(日本時間同日午後十一時)すぎ、ニューヨークの国連本部で始まりました。
アナン事務総長は、名指しを避けながらも、国連憲章と国際法をじゅうりんしてイラク戦争を行った米国を厳しく非難し、こうした無法行為を防ぐための方策の検討を提案しました。米国のブッシュ大統領はアフガニスタンやイラクでの米国の「貢献」を強調し、他の諸国も米国に協力するよう求めました。
アナン総長はイラク戦争に示された米国の先制攻撃を「(国連創設以来)過去五十八年間、世界の平和と安定が依拠してきた原則、国連憲章に対する根本的な挑戦」と指摘。「一方的で理不尽な武力行使の拡散につながる先例をつくることになる」と批判しました。その上で、国連がこうした一国主義の行動に「集団で対応することを示さなければならない」と強調しました。
ブッシュ大統領は「(軍事行動は)多くの国家に信用された」などとイラク侵略を正当化。イラク復興に関して、資金、軍事両面での負担を各国に要請するとともに、同国民の主権確立や、復興事業の国連への権限移譲を表明しながらも治安分野などにおいて米国の主導権は手放さない考えを改めて示しました。
イラク国民による統治の確立にむけ、復興事業の権限を国連に移す国際的圧力が増していることについて、ブッシュ大統領は、「イラク国民の要求に基づいて、急がず遅れず」進める、「(復興の)役割を国連に拡大する新決議を安保理で採択する努力をする」とのべながらも、「国連は憲法制定や公平な選挙実施にむけ支援するべきだ」と主張し、あくまでも米英軍による占領の継続を主張しました。
また、テロとのたたかいでは「中立はありえない」などとして、各国に米国の「対テロ戦争」に従うよう求めるとともに、大量破壊兵器の拡散を防ぐための新たな決議を安保理に要請しました。