2003年9月24日(水)「しんぶん赤旗」
自民・公明党の医療費負担増路線で在宅酸素療法を中断する例が続出−−全国保険医団体連合会(保団連・室生昇会長)の調査で、高齢者の医療費窓口負担が大幅に増やされた昨年十月から今年七月までに、在宅酸素療法を「経済的理由」で中断した患者が十九都県だけで千九百十六人に上っていることが二十三日までにわかりました。
在宅酸素療法は、慢性呼吸器不全などの患者が家に設置した酸素濃縮装置や酸素ボンベを使って行います。患者は全国に約十二万人。
高齢者の患者負担は昨年九月までは診療所で月八百五十円、病院で一割負担。月額上限が三千二百円(大病院は五千三百円)でした。昨年十月から診療所も一割になり、上限が八千−一万二千円に引き上げられました。しかも、いったん窓口で全額払ったうえで、上限を超える分の払い戻しをうけなければなりません。診療所に通院する在宅酸素患者は十倍前後もの負担を強いられます。
保団連は在宅酸素機器の取り扱い業者から、昨年十月から十カ月間に同療法を中断した患者についてアンケートをとりました。十九都県の業者から回答があり、中断者は一万三百六十七人にのぼりますが、そのうち「経済的理由」によるものが約二割の千九百十六人いました。
山口県保険医協会の野田浩夫医師は中断患者の聞き取りをふまえて、「中断した患者さんは呼吸困難をがまんして家にじっとしているしかありません。家事も十分できなくなることも。寿命が短くなるのは避けられない。患者負担を元に戻してほしい」と語ります。
全国低肺機能者団体協議会の大泉廣会長の話 私たちは、寿命を延ばすため、適用基準を緩和して同療法の早期実施や、自己負担分の公費助成を要望してきました。この願いに逆行する医療改悪の悲しい現実が調査で明らかになりました。