2003年9月25日(木)「しんぶん赤旗」
【ニューヨーク遠藤誠二】ブッシュ米大統領とシラク仏大統領による米仏首脳会談が二十三日、国連総会一般討論開会にあわせニューヨークで開かれました。両首脳はイラクの復興に関して意見を交換しましたが、イラクへの主権の早期移譲と国連中心の復興を主張する仏側と、米英主導の再建に固執する米国の意見の相違は解消せず、平行線をたどりました。
イラク戦争の是非をめぐって対立した米仏の首脳会談は六月の仏エビアン・サミット以来のこと。シラク大統領は、イラク復興をめぐりイラク国民への早期主権回復を主張。これにたいしてブッシュ米大統領は、米英占領軍主導による復興事業に支障をきたすとして難色を示しました。
会談後、記者会見したシラク大統領は同問題について「食い違いは残ったまま」とのべ、米国との妥協と合意に至らなかったことを認めました。
シラク大統領は、イラク復興について、イラク国民への二段階の主権移譲を唱え、二十三日の国連演説でも、主権移譲のプロセスは「国連次第」であると指摘し、政治分野では米英占領軍ではなく国連に役割を拡大する必要性を説いています。一方で同大統領は治安分野については、「中心部隊を派遣している国の指揮の下で」国連承認の多国籍軍派遣を認める考えを示し、米軍指揮下での治安業務継続という米国の考えに一定程度譲歩する構えも示唆しています。
安保理でのイラク新決議を模索しているブッシュ米政権は、憲法制定や選挙実施などに限って国連により大きな役割を与えるとの考えです。首脳会談後に記者会見をした米高官は、イラク復興を進めるという米仏両国の姿勢は一致していると指摘、イラク侵攻前にみられた深刻な対立はないとの考えをのべました。