2003年9月25日(木)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 原子爆弾と水素爆弾は、どう違いますか。辞書で「原子」「水素」をひいても判然としません。(新潟・一読者)
〈答え〉 原子爆弾(原爆)は原子核の核分裂エネルギーを利用する核兵器、水素爆弾(水爆)は核融合エネルギーを利用する核兵器です。原爆はウラン235、プルトニウム239などの核分裂連鎖反応を利用しますが、水爆は重水素や三重水素(トリチウム)の核融合を利用します。
私たちの日常生活で遭遇する固体・液体・気体などの状態にある物質を構成する「原子」の中心には、プラス(正)の電荷をもつ陽子と、電荷をもたない中性子が結びついた「原子核」があります。
ウラン235やプルトニウム239の原子核に中性子をあてると、より小さな原子核に分裂し、そのさい複数の中性子とエネルギーを放出します。放出された中性子が他の原子核にあたると、同様の過程がくり返されます。このようにして核分裂反応を連鎖的に進行させ、短時間に巨大なエネルギーを放出させるのが原子爆弾です。
水爆は重水素や三重水素の原子核どうしを融合させ、ヘリウムの原子核ができるときに発生するエネルギーを利用します。太陽のエネルギーも核融合反応によるものです。核融合反応をおこさせるには数千万度の高温が必要で、その高温を発生させるために核分裂爆弾を利用します。放出エネルギーは原子爆弾よりはるかに巨大です。
いまでも世界では、米ロを中心に約三万発の核弾頭が保有されています。ブッシュ米政権は核兵器保有を続ける一方、核など大量破壊兵器の使用・開発の動きがあると判断すれば、核攻撃を含む先制攻撃で阻止するとの戦略を示し、「使いやすい」小型核兵器の開発を進めています。小泉内閣は、米が反撃の恐れなく戦略を実行するための、ミサイル防衛(MD)構想に加担するなど、三たび原水爆の犠牲となった国民の非核の願いに背をむけています。
(博)
〔2003・9・25(木)〕